interview
聞きたい
前橋から日本の元気産み出す
宇留賀氏がMDC代表理事に
2025.06.30

前群馬県副知事の宇留賀敬一氏(44)が6月30日、前橋市のまちづくりに取り組む一般社団法人「前橋デザインコミッション(MDC)」の代表理事に就任した。宇留賀氏は中心街を対象にした規制改革特区構想など4つの重点活動方針を示し、「前橋の取り組みを全国に展開し日本を元気にしていきたい」と抱負を述べた。
中心街で規制改革特区
宇留賀氏は就任にあたり、①規制改革特区②受益者負担を伴うBIDによるエリアマネジメント③100年後も残っているまちづくり④群馬県、全国への横展開―の4つを重点項目に挙げた。
具体的には行政単位が一般的な特区のエリアをMDCが担当する中心街の150㌶で申請、自動運転による公共交通の整備などに取り組む計画。
活動の資金については受益者負担に言及し、「町内会費のような身近な形で無理なく喜んで出せる仕組みを構築したい」とした。

▲前橋のまちづくりを高く評価する宇留賀氏
再開発に関しては、「商店街に奇跡的に残っている昭和レトロなまちなみを100年後も残したい」と強調。国と群馬県、前橋市が進める群馬県庁からJR前橋駅を結ぶトランジットモールでは、民間の立場から「30㍍、8階建て程度の建築様式を整えた建物で統一した景観を創りたい」との私案を示した。
曽祖父は「交水社」を経営
経済産業省出身の宇留賀氏は石破茂首相が10年前に地方創生担当大臣だった際、交付金の制度設計と運用にあたった経験があり、「地方創生に強い思いがあった」と説明、行政でなく民間の立場から地方創生のプレーヤーに転身することを素直に喜んだ。
父方の曽祖父が明治から昭和にかけてあった前橋最大規模の製糸会社「交水社」の経営者であったことを明かし、「自分の先祖が前橋を愛し、にぎやかにした。先祖にお返しをする意味でも今回のお話を受けさせていただいた」と神妙に語った。
宇留賀氏は長野県出身。東京大卒業後、経済産業省に入り、2019年8月、全国の副知事で最年少となる38歳で群馬県副知事に就任した。今年6月17日に退任するまで、官公庁の出身者としては最長の5年9カ月にわたり務めた。
人脈、知見に社会的期待
宇留賀氏の代表理事就任はMDC側から打診した。30日に開かれた臨時総会と理事会で決定。任期は前代表理事、小島秀薫氏の残任期間である2027年5月まで。
小島氏は宇留賀氏へのバトンタッチについて、「人脈や社会的知見が豊富。全国に前橋を売り出す気運が盛り上がっている中、一番いいことだと思う」と歓迎した。

▲「宇留賀さんを虎視眈々と狙っていた」と打ち明ける小島前代表理事
MDCは前橋市中心街を対象エリアとした前橋市のアーバンデザインと前橋商工会議所のグリーン&リラックス構想を推進するため、2019年11月に設立した。
市内の経済人でつくる一般社団法人「太陽の会」(代表理事・田中仁ジンズホールディングスCEO)からの拠出をもとに昨春完成した馬場川通りアーバンデザイン・プロジェクトを担当したほか、まちづくりに関するさまざまなハード、ソフト事業を手掛けている。