interview
聞きたい
【どうなる群馬県民会館
5】
前橋市長、小川晶さんに聞く
2025.02.27

群馬県民会館が建つ県都、前橋。小川市長は県民会館の存続問題をどうとらえているのか。話を聞いた。
市が負担は適切ではない
――群馬県民会館存続に対する市長の意見をお聞かせください。「前橋市は以前から同じスタンスで」とおっしゃっていますが、このスタンスというのはどういうことか、改めて具体的に教えていただけますか。
令和3年に県有施設のあり方の見直しが県で始まったときから、前橋市としては、県有施設である県民会館について改修や維持管理の費用を市が負担することは考えておりませんが、県民会館の利用継続のために協力をしていきましょうということであり、これまで県と話し合いを続けてきましたが、そういったスタンスは変わらないという意味です。
――山本一太知事は12月の記者会見で「前橋市がどういうふうに絡んでくるかというのも、存続を決める一つの判断材料」と言っています。その絡みとは、市長はどのように解釈されますか。
まずは、本質的な話をしっかり県でしていただくのが先ではないでしょうか。文化的な活動をされている方々の意見や建築としての価値などいろいろなことを議論していただき、県が文化振興のあり方をどう考えているのかを踏まえて、県民会館をどうするのかを判断してからのことではないかと思います。
――その判断を受けて、どう絡むかを決めるということですか?
そうですね。ただ費用的な面は、地方財政法上もやはり市が負担するというのは適切ではないと思っています。それを言うと、県有施設はそれぞれの立地市町村が改修費や維持管理費を負担するという話になってしまいます。

▲大ホールのロビー
――地方財政法上、県有施設に対して、市町村が費用負担することは禁じられているのですか。
基本的には国や県の施設の建設に関する費用については、特別な受益がない限りは、市町村に負担させないというルールになっています。
特別な受益というのも、立地している市町村には利用者が多いとか、飲食などの利益等は、特別な受益には当たりません。
実際、いろいろな県有施設の改修費をそれぞれの立地市町村が負担していないはずなので、県民会館に関しても前橋市が負担するということは難しいと思います。

▲小川晶市長
県で検討し、存続を願う
――前橋のホール問題についてお聞きします。 前橋テルサも閉鎖し、市民文化会館も近く改修の必要性が出てくると聞いています。ホール難民が増えていることについてどうお考えですか。
前橋は市民文化会館と大胡シャンテがあり、市としてはしっかりお金をかけて二つのホールを守っています。前橋文学館にも小さなホールがありますし、市民の皆さんの日常の文化の発表ということで考えると、元気21のホールや各地域の公民館も利用できます。前橋は、発表の場所は身近なところにむしろたくさんあるんじゃないかなと思っています。
――ずばり、市長は群馬県民会館は残すべきだと思いますか。
はい。県民のための施設として必要な拠点だと思うので、県でしっかり検討していただき、残してもらいたいと思っています。
――現在、前橋市の前橋まちづくり公社が指定管理をやっています。県民会館が残るとしたら、今後もそういったことをしていくのでしょうか。
適切な方法でやっていただけたらなと思います。施設の維持管理については様々な方法があると思うので、市が現時点でこれが望ましいなどとお話しするべきでないと思います。
文化施設に関しては、基本的には利益が上がるものではないと思うので、県民会館であれば、県がその運営費についてもしっかりみていく必要があると考えております。

▲小ホールの緞帳
――県庁所在地に県民ホールがない都道府県は全国で4カ所です。県民会館が閉鎖してしまうと、群馬が5番目になってしまいます。
県民ホールが県庁所在地に絶対になければいけないというものではないと思います。ただ現状として、群馬県民会館という立派な素晴らしい施設があるので、これはしっかり続けていくべきだという風に考えています。
――残してもらいたいということを、知事にお伝えになっているわけですね。
お会いしてこの話になる度に、同じことを私たちは伝え続けています。残してほしい、それが適切じゃないかとお伝えしていますけれど、最終的な判断は県によるものですので、県でしっかり議論してもらいたいと思います。
県有施設をどうするかということは、県が文化振興をどう考えていくかという話です。本当に県のために必要で、県民全体のための文化の拠点なんだと、この位置づけをしっかりしていただくことが望ましいと考えています。