interview
聞きたい
【聞きたい 米原信さん▶1】
史上最年少でオール讀物新人賞
2024.11.18
2年前、オール讀物新人賞を史上最年少、19歳で受賞した米原信さん。小さいころから本好きで活字に親しんできました。高校まで過ごした前橋時代を振り返ってもらいました。
就学前から「活字の本」
―本に親しむようになったのはいつからですか。
自分では覚えていないのですが、親が言うには小学校に入る前から「活字の本」を読んでいたそうです。市立図書館に行って、本を借りていたとか。漢字があっても大丈夫だったらしいです。
小学校に上がると、もう「図書館小僧」でした。「多読賞」の常連。『シャーロック・ホームズ』、『怪人二十面相』、『ハリー・ポッター』が三大本でした。『ハリー・ポッター』は1晩で1冊読み切ったこともあります。翌日も別の巻を借りました。
小学生の高学年になると、父親からこんな選択を提案されました。「小遣いをあげるから、その中から全部賄うか、小遣いはないが、本だけは好きなだけ買ってあげるか」と。後者を選びました。おかげで高校生まで本には不自由しませんでした。
―ずっと「活字の本」を読んできたのですね。
いや、漫画も好きです。漫画の方が多いかな。
中学は剣道部に入ったので、さほど本を読めなくなりました。小学生から歌舞伎に傾倒していたので、剣道にあこがれがあったのかもしれません。
強豪の中学で地区大会は団体戦で入賞していました。同期は個人戦でも地区上位の常連で。自分はあまり強くなかったですが、それでも初段をいただきました。毎週水曜日に『少年サンデー』を読むのが密かな楽しみでした。
漫画は『火の鳥』など古典から新作まで読んでいます。(小説の)ストーリー展開の仕方はそこからもらった気がします。
演劇部で脚本、演出、出演
―高校時代はどうでしたか。
剣道は辞めて、演劇部に入りました。中学でも演劇部があれば入りたかったのですが。三つ子の魂でしょう。小学校に上がる前から好きでした。
演劇部では脚本を書き、演出を決めて、自ら出演もしました。主演ばかり(笑)。
太平洋戦争を題材にした脚本が中毛地区の演劇大会で入賞し、先生たちから「お前、本を書け」と薦められたのを覚えています。
内容? 当時も自信はそんなになかったです。いま読むと全然だめかな、だいぶ気恥ずかしい。まあ、いまだに最新の原稿以外は捨てたいような気分になるのは変わりませんけど。自分の書くものに自信が持てるのは当分先な気がします。
―作家を目指すようになったのはいつからですか。
大学受験が終わってからです。インターネットで小説のデビュー法を探したら、オール讀物で新人賞があることを知りました。そこでとりあえず上京前に『文藝春秋』と『オール讀物』を1冊ずつ買って、世の中にはこんな本もあるんだな、と。確か前橋の紀伊國屋だったかな。
大学に入り、初めて小説を書いて応募しました。そこで、幸運にも受賞することができ、作家になる覚悟を決めました。
※【聞きたい 米原信さん▶2】はこちらから。
米原信(まいばら・しん)
2003年、前橋市生まれ。県立前橋高-東京大文学部3年。中学は剣道部、高校は演劇部に所属、脚本を書き主役を演じた。趣味は芝居の観劇。特技は歌舞伎役者の台詞を物真似する声色(こわいろ)。2022年、オール讀物新人賞(文藝春秋)で史上最年少、初の10代の受賞者となる。