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聞きたい

出張します 前橋文学館
絵本読み聞かせや紙芝居

2024.08.11

出張します 前橋文学館
絵本読み聞かせや紙芝居

 前橋文学館は出張します―。就学前の子供たちに絵本の読み聞かせをする「出張前橋文学館」が人気を集めている。特別館長の萩原朔美さんと読み聞かせのベテラン、田子智代さんの名コンビが昔話に登場する人物に扮したり、ユニークな演技を交えたりと熱演。子供たちを絵本の世界に誘い夢中にさせている。

萩原特別館長と田子さん熱演

 「お山に雨が降りました。あとから、あとから降ってきて…」。前橋市三俣町にある第二あさひ幼稚園の講堂。「タコさん」こと田子智代さんの軽快な歌が始まると、おしゃべりをしていた年少から年長までの園児約70人が口を閉じ、正面に目を向けた。

▲ひょうきんな動作で子供を楽しませる田子さん

 最初の出し物は『ももたろう』の読み聞かせ。田子さんが絵本を開きながら進行役を担い、桃の絵を描いた白鉢巻を巻いた萩原さんは大きな声でセリフを読み、桃太郎になりきっていた。

▲ももたろうになり切る萩原さん

 『ももたろう』の歌を歌ったり、手遊びしてから、紙芝居で『ききみみずきん』を披露した。萩原さんは今度は頭巾をかぶって主人公を熱演。「この頭巾を被ると動物や植物の声が聞こえる」と語り、子供たちの目をくぎ付けにしていた。

 最後に海の生き物を描いた『スイミー』を大きな絵本で紹介した後、田子さんがタコやカニ、マグロの物真似をすると、子供たちは一緒になって魚になったようにうれしそうに走り回った。

▲大きな魚に化ける『スイミー』はみんな知っている

全力で楽しむのが秘訣

 出張文学館は子供のころから本に親しんでもらおうと、コロナ禍が一段落してから本格化させた。

 萩原さんは子供を退屈させないように衣装や動きにも工夫する。「鬼が出てくる絵本に合わせて、虎のパンツをはき、リアルな鬼を演じたら泣き出した子がいた。あれは参ったな」と苦笑い。

▲衣装にも気を配る萩原さん

 文学館や前橋プラザ元気21内の前橋こども図書館でも読み聞かせをする田子さんは「子供からおばあさんの役までできるのが面白い。もう、楽しくて、楽しくて。自分の子が小さいころに始めましたが、いまだにやっています」と魅力を語る。子供たちを夢中にさせるには「全力でやること。自分が楽しむこと。子供はだませません」と秘訣を教えてくれた。

▲田子さんは読み聞かせが大好き

出張前橋文学館

 前橋文学館は幼稚園や保育園、こども園を対象に出張を受け付けている。

 問い合わせは前橋文学館(☏027-235-8011)へ。