初夏の午後は吹奏楽とともに　
4、5月に3団体が演奏会

ゴールデンウイーク始まりの4月28日には、「アンサンブルシエール吹奏楽団」。前身は県立前橋商業高校吹奏楽部OBOGバンドで、1999年から誰でも入れる一般バンドに転身し、現在の名称で活動を開始、今年で25年目になる。年齢構成は25歳から50歳、平均37歳の、52人が演奏する。指揮は山田考史さん。

団長の福島久登さんが「春らしい華やかな曲を詰め込んだ」と話す通り、一部、二部を通じて清々しさや躍動感溢れる、親しみやすいものが選曲されている。

また、今回は能登半島地震の復興祈念チャリティーコンサートとしての側面もあり、二部終盤で演奏する「A Song For Japan」（日本に捧ぐ歌）は、2011年、全世界のトロンボーン奏者たちが立ち上げた東日本大震災チャリティー事業の中で作曲されたもの。

聴く者の心を静かに励ますようなこの曲でソロを演奏する西山浩章さんは、「東日本大震災の時に世界中のトロンボーン奏者がそうしてくれたように、我々も音楽を通して、能登の被災地の方々に寄り添いたい。会場のお客様には、心の中で被災地にエールを送ってもらえるような演奏を届けたい」と決意を語る。

ゴールデンウイーク明けて次の日曜日、5月12日は、来年創団40年を迎える「前橋市民吹奏楽団」（中里泰登団長）のミュージックホリデー。団員の最年少はこの春高校卒業したて、最年長は還暦越えと幅広い年代層。今回は47人で演奏する。指揮は山本佳弘さん、笠原新一さん。

ホール開催の定期演奏会とは違い、カジュアルに吹奏楽を楽しめるこのコンサート。今回のテーマは、「カラー」。雨上がりに架かる虹の赤、黄、緑、青、紫などと、様々な色を感じられる曲を演奏する。

「ラプソディー・イン・ブルー」ではクラリネットの、「ディープ・パープル・メドレー」ではバリトンサックスのソロも楽しめる。

「単に色覚的な色だけではなく、驚きや発見、笑いや不思議など、聴く人の心情の変化によって心の色も変化するような演奏会となるよう創意工夫している」と実行委員長の吉澤祐人さん。「音楽的には、ジャズならジャズ、ロックならロックと、それぞれの曲が持つノリや音の響きを吹奏楽で表現する」という点にも是非注目を。

団員手作りの、ある自然現象の音を奏でる楽器も印象的に登場する。こちらもお楽しみに。

その翌週19日は、「けやき管打楽器吹奏楽団」（千明一徹団長）。指揮をする山本佳弘さんの門下生により2006年結成。「ただ仲間と合奏がしたい」との思いで集まり、団員制はとらず定期練習日もないというユニークな集団。20歳から40代までの、40人ほどでの演奏となる。

第一部では、全く趣きの異なる3曲を配している。そして、壮大なファンファーレで始まる雄大な曲「グランド・マーチ」は金管楽器の勇壮さに、誰もが知る童謡などを抒情的に編曲した「日本のうた」では木管楽器の情緒豊かさに、ダイナミックでパワフルな「アフリカの儀式と歌、宗教的典礼」は打楽器の多彩さと躍動感にと、それぞれの曲で活躍するセクションを存分に堪能できる選曲となっている。

第二部はポップス。ディズニーの曲では、観客と舞台と一体になって楽しめる演出を用意。団のアットホームな雰囲気も同時に味わえる。

副団長の小松翔太さんの言う「コロナ禍を越え、改めて全員で楽しく演奏会を作り上げていくという楽団の方向性を示せるようなものにしたい」との思いが音楽表現や演出の随所に感じられる。