聞きたい 飯野さん2▶︎
6次産業化の有機ビジネス
食料生産をサステナブルに変革する

学生時代にインドの農村で目にした循環型の有機農業を赤城山南麓で実践している。自然の恵みをいただいて育った小松菜は生で食べると甘さに驚かされる。農業法人を率いる飯野晃子さんは2児の母。前橋と東京の二重生活、仕事と家事の二刀流を楽しむ。

―インドで学んだ真の有機農業。人生に大きな影響を与えましたね。
 健康な大地があってこそ、人を健康にする命の食べ物を作ることができるのです。そして、そうした自然とともに食べ物を生産し続けられるような土壌と食べ物づくり、有機農業を世界各地で実践しなければ、地球で持続的に農業ができなくなってしまうという危機感を抱きました。
 価格の安さを追い求めれば、安く作れる国で作ったものを買って、食べればいいという安易な考え方になってしまいますが、地球規模で考えても、各地域の生物多様性が失われ、サステナブルな農業ではありません。人類が効率優先で走り続け、作り上げてしまった、食料生産の構造を変えたいです。その土地で環境に寄り添いながら生産し消費することの尊さを大切にしたいですね。
 ―使命感がにじんでいます。
 真の有機農業=リアルオーガニックの必要性と可能性を強く認識させられました。これを日本に、アジアに、世界に広めていく。そして、豊かな土壌と美味しい食べ物づくりの方法、その精神を次世代につなげるのが私の使命だと感じましたね。
 ―自然食品を販売する会社で働いた後、米国の東海岸と西海岸のオーガニック調査をして、「ヒーリングフード」を体系化し出版しました。
 有機農業の研究者よりも、ビジネスでオーガニックを広げることが私の使命なのではないかと。まずは現実の生産と消費のあり方を変えていきたいと思って、ビジネスの世界で修行を積もうと考えました。
 自然食品企業で商品開発担当として、健康や美容の食知識を深め、自然派商品や有機認証商品開発の経験をした後、食と健康の研究とオーガニックの普及活動を執筆やセミナー講師を中心に活動しました。
 ―プレマの社長になり、いよいよ有機ビジネスを実践に移しました。
 プレマとの関わりは、加工品担当からでしたが、2015年から社長になり、本格的に経営に着手しました。会社を引き継ぐというより、新会社を創業するに等しいスタートでした。
 次世代までつなぐ有機農業の経営は本当に困難な道です。当然農業は自然相手であり、台風や大雪に見舞われると甚大な被害となりますから、有機栽培であっても安定生産できるようにしなければなりません。まずは、組織作りや生産管理など、体制づくりにも苦労しました。
 そして小松菜の有機栽培を20年以上継続してきたことを活かしつつ、生産品の付加価値を高めて、経営を強化する方針で進めてきました。
 小松菜は、栄養豊富で健康や美容効果の高いヒーリングフードです。毎日手軽にとれるように、乾燥したパウダー商品や、小松菜を地粉に練りこんだ乳酸菌入りうどんも開発しました。6次産業化です。
 このご時世では、展示会や店舗販促で試食することは難しくなっていますが、本当は直接お客さまと対面で小松菜の健康効果をお伝えしながら、プレマの小松菜をオススメするのが大好きです。
 現在、弊社の取引先は業者様が多く、BtoBが中心ですが、今後はBtoCの小売事業にも力を入れ、もっと直接、交流ができるようにしたいですね。

飯野晃子(いいの・あきこ)

1979年10月20日栃木県足利市生まれ。津田塾大学英文科卒業、東京大大学院修士課程修了。2015年からプレマ社長。一般社団法人日本ヒーリングフード協会代表理事を務める。


株式会社プレマ(プレマ・オーガニック・ファーム)

1996年創業。周年で有機小松菜を栽培。小松菜パウダー、小松菜生うどん等加工品も販売する。資本金1000万円。従業員約35人。前橋市粕川町下東田面。

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