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三輪途道さんと谷川俊太郎さんの世界
画廊翠巒で17日まで詩画集原画展
2023.12.09
全盲の彫刻家、三輪途道(みちよ)さんと谷川俊太郎さんによる詩画集『かべとじめん』(メノキ書房)の原画展が12月9日、前橋・画廊翠巒(すいらん)で始まった。10日には朗読会&お茶会がある。会期は12月17日まで。『かべとじめん』は三輪さんの作品一つひとつに谷川さんが印象的な一行詩を寄せている詩画集。2人が紡ぐ世界を実体験できる原画展の会場で、三輪さんに話を聞いた。(取材/柁原妙子リポーター)
一周すると一冊の詩画集に
一面、茶色に塗られた地面にたくさんの上履きのレリーフ。その横には「かべがかなしみをふせいでくれる」の文字。
原画展「三輪途道展 ーかべとじめん+ー」は、9月に発行された詩画集『かべとじめん』の原画と谷川さんの詩を展示している。原画であるレリーフが、詩と一対に組んでいる。会場をぐるっと一周すると全部で18組、一冊の詩画集の旅ができるという仕掛けだ。
このほか、詩画集に登場する犬の立体作品や彫塑を展示している。
手が目である三輪さんは、どこをどう描いたかわからなくなってしまう絵の代わりに、手掛かりができる粘土のレリーフで表現した。
彩色はクレヨンとパステル。三輪さん本人が色を考え、例えば机の右手に赤、左手に青を置き、服の右側のポケットに緑、左側に黄色を入れて、その場から離れることなく一気に塗る。
「頭の中でこう仕上がっているであろうという勘の世界で、結果は私には見えないのでわからない」と言うが、18点それぞれに味わい深い微妙な色遣いが施されている。
谷川さんと絵本を作りたい
三輪さんと谷川さんをつないだのは、2022年7月に出版した絵本『みえなくなったちょうこくか』(メノキ書房)。三輪さんをモデルにしたこの絵本の帯を谷川さんに書いてもらったのがきっかけだ。
「谷川さんと一緒に絵本を作りたい」と持ち掛けたところ快諾を得た。
「三輪さんの作品を送ってください」。谷川さんからの依頼を受け、10数枚の画像とレリーフの実物一点を送ったところ、谷川さんからすぐに「『かべとじめん』というタイトルが浮かんだ」と返信がきた。それと共に、17行の詩が送られて来たという。
「うれしくてますます創作意欲が湧き、さらに30〜40点の作品を製作しました」と三輪さん。その中から18点を選び、谷川さんも詩に1行追加したという。
レリーフと詩が紡ぎ出す印象的な世界。二人のキャッチボールを想像しながら、原画展を楽しんではいかがだろう。
三輪途道展 ーかべとじめん+ー
画廊翠巒
- お問合せはこちら
- 027-223-6312
住所 | 前橋市文京町1-47-1 |
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会期 | 12月9日(土)~17日(日)10時〜19時(12日火曜休廊、最終日17時まで) |
朗読会&お茶会 | 12月10日(日)14時〜、参加無料 |