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「幽霊ビル」ついに“成仏”へ
前橋・産業通り交差点の廃墟ビル
2023.12.05
前橋市大友町の産業通りと西毛広域幹線道路の交差点にある廃墟ビルが来年にも解体される見通しであることが分かった。20年以上も無人のままで、荒れ果てて倒壊の危険性があった。オフィスビルやホテルが建ち並ぶ一等地にありながら、「幽霊ビル」と呼ばれ心霊スポットにもなっていただけに、解体されれば一帯の再開発に弾みがつきそうだ。
壁にひび、看板破損、木が茂る
産業通りに面したビルの東側。ビルの3階部分まで伸びた木に覆われ昼間でも薄暗い。1階には「〇〇うどん」と書かれた看板がわずかに原型を留めている。壁にひびが走り、いつ崩落してもおかしくない。
近くのビルで働く会社員は「昼食のためビルの前を通ることがあるが、壁が崩れてこないか心配して上を向いて歩いている」と苦笑い。地震での倒壊や放火を心配する住民もいる。
登記簿によると、ビルは1979年に建てられた。鉄筋コンクリート6階建てで、3階まではパチンコ店や飲食店がテナントとして入り、4階から6階は分譲マンションとして15戸が入居していた。
関係者の話では、建物に欠陥があったため10年足らずで水が使えなくなり、住民は退去した。テナントはその後もしばらく営業していたが、2002年にはすべて撤退。20年以上、放置されている。
「一人暮らしの女性がミイラで発見された」という真偽不明な話から、「幽霊が出る」「近くで交通事故が多発する」といった都市伝説が生まれ、心霊スポットを紹介する動画でも取り上げられている。
前橋地裁に競売申し立て
ビルは前橋市からの要請もあり、不動産の赤城エステート(前橋市端気町)が7年前から管理を始めた。地権者や債権者を探してきたが、地権者が死去していたり、連絡が取れなかったりと難航。今年になってやっとすべての権利関係者と協議ができ、債権譲渡や競売への同意を求めている。
事務手続きを代行している代理人によると、契約はほぼ順調に進んでおり、終結次第、前橋地裁に競売申し立てをする方針。競売により、赤城エステートが自社物件として解体するか、他社が購入して解体することになるという。
五十嵐信雄社長は「このまま放置しておくわけにはいかないと手を挙げたが、こんなに時間がかかるとは思わなかった。他社が買ってくれればいいが、解体費も高騰しており、難しいだろう」と指摘、自社で解体する意向を明らかにしている。
競売の申し立ては年明けとなりそうで、早ければ来年中に幽霊ビルは“成仏”できそうだ。