interview
聞きたい
【聞きたい 本間和明さん▶2】
ゲーム業界、これからの闘い方
2023.08.04
日本の各都道府県を群馬にしていく『ぐんまのやぼう』をはじめ、数多くの人気タイトルを送り出す、ゲームクリエイターの本間和明さん。現在、力を入れているゲームについて聞きました。(取材/阿部奈穂子)
大手の出さない独自タイトルを
―『ぐんまのやぼう』をリリースして間もなく、スマホゲーム業界に大手が参入し始めました。
事態急変です。ブルーオーシャンだったのがそうではなくなって…。ちっちゃなゲームを何本出してもスルーされてしまう。戦い方を考え直さねば、と思いました。大手が出さない隙間を探す。時間をかけて一本一本のゲームを作り込むという方向性に変えていきました。
-大手が出さないゲームとはどんな?
例えば、2019年4月に発売したNintendo Switchの『ナンプレRelax』。いわゆる数読と呼ばれるジャンルのゲームです。大定番なゲームゆえに、大手は力を入れて作ってきません。
従来のナンプレはUI(ユーザーインターフェイス)とか遊びやすさとか、ちょっと自分的に扱いにくいなという面があったので、その辺りを作り込みました。デザインもおしゃれっぽく。これまではよくあるトランプの図柄で、ちょっと寂しさがありました。
子ども向けゲームにも力入れる
―昨今は子ども向けゲームもたくさん出されています。お子さんが生まれたのがきっかけですか?
そうです。レストランの待ち時間などに、動画を見せるより、ゲームをさせる方がいいなあと思って。
子ども向けのゲームは遊びやすいものが少なかったので、自分で作ろうと。画面いっぱいにオモチャの踏切を出して踏切カンカン遊びができる『ふみきりあそび』や『エレベーターあそび』などをリリースしました。
今年3月に出した『ルくちゃんのハートバルーン』は小さい女の子をターゲットにしたゲーム。何をモチーフにしようかって考えて、「絵本」にしたんです。まず、絵本の形を作って、ストーリーも絵本ぽくして、合間にパズルゲームで遊べるようにして、個性を出しました。
自作のゲーム お気に入り2選
―ゲームを作り始めて20年弱になります。自作のゲームで一番好きなのは?
2つあります。1つは『大収集!!カードコレクト』っていうゲーム。トレーディングカードゲームみたいに、パックを開けると、1から999の数字のどれかが出てくる。それを集めるだけのゲームです。
やってることはただ数字を集めてるだけなんですけど、見た目をおしゃれにしたり、レアリティの高い出づらい数字を設定して、社交性を出したり。
自分が単純にカード好きで。小学生のときから親に小銭をねだって。群馬町のとりせんで年中、カードを買ってました。
―もう一つの好きなゲームは?
『とうさん』というパズルゲームです。“倒産力”という神から与えられたチカラで世界を幸せにしていくオヤジをテーマにしています。
-シュールですね。
父さんと倒産。同じ響きでこのネタでやったら面白いなと、悪ふざけの発想です。その逆、会社を立てて幸せっていうゲームは結構いっぱいあるので、僕が作る必要はないなあと(笑)。
ほんま・かずあき
1984年生まれ。吉岡中→前橋西高→ゲーム専門学校卒業後、デザイン会社「ビーワークス」にゲームプログラマーとして勤務。2010年、独立し「RucKyGAMES(ラッキーゲームス)」を立ち上げる。「ぐんまのやぼう」ほか数多くのスマホゲームやNintendo Switch向けのタイトルを開発。ぐんま特使。