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【聞きたい 田島宏明さん】
NII日本情報産業 前橋に新拠点

2025.06.05

【聞きたい 田島宏明さん】
NII日本情報産業 前橋に新拠点

 大手法人向けのシステム開発を手掛けるNII日本情報産業(東京都渋谷区、田島浩社長)は2025年1月、前橋市に自社ビル「NIIテックラボ」を開設した。BCP(事業継続計画)対策として本社にあるサーバーを集約するとともに、新たな事業拠点とする構想。なぜ、前橋か。ラボの機能、役割を田島宏明取締役に聞いた。

データセンターの生命守る

――NIIテックラボはどんな施設ですか

 4つの機能があります。

 1つめは本社のデータセンターにある自社サーバーとお客様所有のサーバーを運用ごと預かるデータセンターとしての機能です。

 2つめはすでに前橋支社で展開しているシステムの開発、運用の拡大です。

 3つめは会社のイメージ戦略です。私共はベンダーに縛られず、自由なスタンスで仕事をする独立系として様々な需要に対応しています。ただ、うちがやっていますよとアピールするのが難しい黒子のような存在です。社会的なイメージを向上させる広告塔の役割を持たせたいと考えています。

 4つめは将来的な事業拡大の主要な拠点とするため。10年後、20年後の成長を考え、新たなビジネスに取り組める場所を用意しておきます。

▲ラボの機能を説明する田島さん

――2階以上はオフィスやデータセンターですが、1階は開放的なデザインですね。

 階段状の椅子を広く配置し、斬新な発想が生まれようにしています。石の素材感と緑の色彩で構成したフリースペースは打ち合わせに利用します。

 3月に高校生向けのIT体験ワークショップを開き、若手、中堅の社員がシステムエンジニアの仕事を分かりやすく、熱く語りました。今後も学生や保護者、先生、大学、一般市民向けと幅広く企画し、地域でITへの理解がすすむ一助となれることを願っています。

▲階段状になった椅子席。ワークショップにも利用される

▲1階のロビー。木の温もりと斬新なデザインが調和する

――前橋を選んだ理由は。

 なによりも安全性です。地震や風水害のリスクが少ない立地性を重視しました。加えて、近年は富士山の噴火が懸念されています。火山灰等による、冷却装置や電子機器への影響を回避できる地域が必要でした。

 計画停電のあった東日本大震災の教訓として、電力の確保には万全を期しました。テックラボは2つの異なる変電所から送電してもらいます。どちらかが送電不可能になっても安定した電力供給を受けられます。さらに、大型の自家発電機や電源自立型ガス空調機も設置しています。

 東京から近く、水と緑の落ち着いた文化都市としての魅力も大きいですね。

▲データセンターとして前橋を選んだ

現地採用を倍増、30人に

――前橋支社は創業年に開設していますね。

 1969年開設当時はキーパンチャーとして適正のある多くの人材が必要でした。本社の渋谷よりも前橋の方が人材を確保しやすかったのです。

 創業者が前橋と縁があったのも理由の一つ。現社長の田島浩も前橋出身です。

――前橋では何人くらい働いていますか。

 全社員が2400名近くおり、前橋支社には200名ほどが所属しています。

 新たな拠点ができたことで、現地採用も増やす予定です。新卒はここ数年、毎年200人程度を採用し群馬県内からは15人前後。来春は倍の30人程度を見込んでいます。

――IT系は人材の流動性、言い換えれば離職率が高いと言われていますが。

 離職率は極めて低いと自負しています。歴史の古い会社ですから、良い意味で古風な企業文化があります。

直接目にみえなくても、世の中にはレガシーシステムも最新システムも共存しています。これらに対応できるよう、終身雇用を背景に常時広くて厚いスキル層を確保しています。

 採用にあたっては学歴を問いません。今春入社した高卒の女性もシステムエンジニアを目指して頑張っています。

NII日本情報産業株式会社

 1969年7月設立。システムの開発、運用をはじめ、コンサルティング、インフラプラットフォーム、試験システム、プロダクト・サービスを手掛ける。本社のほか、全国006カ所に拠点を持つ。前橋支社は表町、NIIテックラボは南町。資本金1億円。代表取締役は田島浩氏。