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「ブルーボーイ事件」前橋で舞台挨拶 
メイとアー子が撮影を振り返る

2026.01.14

「ブルーボーイ事件」前橋で舞台挨拶 
メイとアー子が撮影を振り返る

 全国で話題を集め、前橋シネマハウスでも異例のヒットを続ける映画「ブルーボーイ事件」。8割以上を前橋でロケした本作の舞台挨拶が1月12日、同館で行われた。登壇したのは前橋市在住の飯塚花笑監督と、ブルーボーイ達のリーダーであるメイ役の中村中さん、自由に生きることを夢見るブルーボーイ、アー子役のイズミ・セクシーさん。舞台挨拶では、映画に込めた思いや撮影の日々とともに、「人や物事は簡単にカテゴライズできない」という考えが飾らない言葉で語られた。
(取材/阿部奈穂子)

開演前から続いた長い列

 舞台挨拶当日、前橋シネマハウスのロビーには、開演を待つ観客が折り重なるように列をつくった。年齢層は幅広く、カップルや一人客、映画をきっかけに初めて劇場を訪れたという人の姿もあった。

 全国各地で上映が続く中、前橋でも3月までのロングランが決定している。

▲前橋シネマハウスの入口に列をつくる観客たち

忘れてはいけない出来事を映画に

 最初にマイクを握ったのは飯塚花笑監督。1960年代に実際に起きた「ブルーボーイ事件」を映画化したきっかけについて、「当時の週刊誌や資料を調べていく中で、私自身も性的少数者ですが、想像していた以上に、当時の人たちがたくましく生きていたことを知りました。風当たりの強い時代の中で、ちゃんと生きていた。その姿に感銘を受けたんです。これは忘れてはいけない出来事だと思い、映画にしようと決意しました」と話した。

 過去の事件をなぞるだけではなく、「生きていた人たちの姿」を伝えること。それが作品の出発点だった。

▲映画化のきっかけを話す飯塚監督

 ブルーボーイたちのリーダー、メイ役を演じた中村中さんは、出演の理由について振り返った。

 「以前、飯塚監督とお仕事をご一緒したことがあって、『今度ブルーボーイ事件を撮るんだけど、姉御的な役がある。オーディションを受けてみませんか』と声をかけていただきました」

▲難しい役に挑んだ中村中さん

 なぜ中村さんだったのか。その理由を監督はこう語る。

 「1960年代に自分自身を表明して生きることは、ものすごいエネルギーが要ったと思います。メイは、とてもたくましくて、決して弱さを見せない人物。勝手にですが、その姿を中村さんと重ねていました」

▲詰めかけた観客の前で

イズミ・セクシー、映画初出演の覚悟

 アー子役を演じたイズミ・セクシーさんは、本作が映画初出演となった。出演のきっかけは、意外にもSNSだった。

 「インスタグラムのダイレクトメッセージで、こういう話があるんですけど受けてみませんか、と監督から連絡をいただきました」

 脚本を読み、オーディションに臨む中で、役への思いが芽生えたという。

 「アー子を擁護したい、守りたい、そういう気持ちが自然と出てきたんです。自分がこの役をやる気がする、みたいな第六感もありました」

▲アー子への想いを語るイズミさん

 飯塚監督の演技指導は「とにかく細かかった」と笑う。

 「この場面ではこういう気持ちのはず、もっと何かがあるはずだ、とレッスンの段階からずっと言われていました。本番で頭が真っ白になると、どうしても出力が下がる。『もっと上げて』と、何度も丁寧に指導していただきました」

▲チャーミングなミニのドレスで

前橋で過ごした撮影の日々

 話題は、前橋での撮影エピソードへと移った。

 中村さんは、オフの日の過ごし方を明かす。

 「利根川の近くを散歩しました。10代の頃に住んでいた千葉にも利根川が流れていて、昔の自分と今の自分を重ねながら歩いたりして。五差路の古着屋さんでTシャツも買いました」

▲「古着屋さんでその土地の美味しいものについて聞くのが趣味」と中村さん

 イズミさんは、わたらせ渓谷鉄道での出来事を振り返った。

 「途中で降りたら、もののけが出そうな森で、一人で怖くなって。山合いのうどん屋さんでうどんを食べて帰りました」

 監督は、そんな二人を見守りつつ、裏話を披露した。

 「中さんはよくみんなを連れて、前橋の居酒屋『たぬき』へ飲みにいっていました。チームワークを育んでくださりありがたかった」

 「たぬき大好き。『吉兆』のボトル入れました」。イズミさんの言葉に、会場から笑いが起きた。

▲キャストから愛された居酒屋「たぬき」の肉じゃが

心に残るシーン、伝えたい言葉

 印象に残るシーンを問われると、中村さんは主人公のサチが裁判所で証言する場面を挙げた。

 「『ブルーボーイ事件』はマイノリティ性を持つ人物が主人公ではありますが、サチのセリフには、そうした枠組みでは人間はカテゴライズできないのだと教えてくれる言葉があります。むしろ、マジョリティー性を持っている人にこそ、この映画を観てほしいと思います」

▲サチが証言台で想いを吐露するシーン

 イズミさんは屋上で、ブルーボーイたちが語り合うシーンを挙げた。

 「これは勝手な推測ですが、監督の願いが見える気がしました。マイノリティを描いているけれど、もっと普遍的な『こうなったらいいな』が伝わってくる映像です」

▲洗濯ものを干しながらサチとアー子が語り合うシーン

 最後に飯塚監督は、前橋への感謝を込めて語った。

 「私たちは8割ほど前橋に滞在し、前橋ホテルに泊まり、食事も生活もすべて前橋の皆さんにお世話になりながら、この作品をつくりました。その時間や経験が血となり肉となって、前橋の風土が確かに作品に反映されていると思います。ぜひ、そんなことも感じながら観ていただけたら」

▲前橋で生まれた映画と話す飯塚監督

投票しよう!「ブルーボーイ事件」を日本アカデミー賞話題賞に

 話題賞は、日本映画界最高の栄誉とされる日本アカデミー賞の中で、唯一、一般の観客が投票に参加できる賞だ。2025年に公開された映画の中から、「話題になった」と感じた作品を選び、投票することができる。

 全国で上映が広がり、前橋シネマハウスでも異例のロングランとなっている映画「ブルーボーイ事件」。観客一人一人の声が、その評価を後押しする。ぜひ「ブルーボーイ事件」に投票し、作品を応援しよう。

【投票締切】
 2026年1月31日(土)23時59分まで
 投票はこちらから

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