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新作ミュージカル「ディズニー くまのプーさん」
2年連続で挑む 
前橋市出身、養田陸矢さん

2025.08.20

新作ミュージカル「ディズニー くまのプーさん」
2年連続で挑む 
前橋市出身、養田陸矢さん

 子どもも大人も夢中になる―。新作ミュージカル『ディズニー くまのプーさん』が2024年に日本で初演され、今年も全国ツアーが行われている。くまのプーさん役を2年連続で務めるのは、前橋市出身の養田陸矢さん。包容力あふれる優しく温かい演技を見せる。8月30、31日は品川、9月13、14日は大宮、20、21日は横浜で公演する。海外でも高い評価を受けた話題作、会場に足を運んではいかが。
(取材/阿部奈穂子)

100エーカーの森を舞台に

 クリストファー・ロビンと仲間たちが100エーカーの森を舞台に繰り広げるミュージカル『ディズニー くまのプーさん』。愛くるしいパペットを操り、懐かしさと新鮮さを併せ持つ音楽で観客を魅了する。
 日本公演でくまのプーさん役を演じる養田さんは、県立前橋高2年のときに出演したまえばし市民ミュージカル「灰になった街」をきっかけにミュージカル俳優への夢を抱き、劇団四季研究生やテーマパークシンガー、小劇場などで舞台経験を積んできた。25歳のとき挑んだオーディションでこの役を射止めた。

 養田さんへの一問一答は次のとおり。

▲くまのプーさん役をダブルキャストで演じる養田さん

くまのプーさんと呼吸合わせて

――オーディションでプーさん役に選ばれたときの気持ちは?

 もともとディズニー作品の温かく可愛らしい雰囲気が好きで、パペットを使って演技することも自分に合いそうだと感じていました。7歳下の妹がプーさんファンだったこともあり、身近に感じていたんです。合格をもらって本当にうれしかったし、周りからも「ぴったりだね」と言われました。

――パペットを使って演技するうえで意識していることは?

 まずパペットの特性や限界を理解し、そのうえでアニメーションのプーさん像をいかに重ねられるかを意識しました。練習では鏡を使い、角度や動きがどう見えるかを体に覚え込ませました。大切にしているのは「呼吸」です。最初から最後までプーさんが生きている存在であるよう、細かな動きや反応にも気を配っています。

――舞台の見どころは?

 パペットが本当に愛らしく、この舞台でしか出会えない100エーカーの森の息遣いを感じてもらえます。幼いクリストファー・ロビンが親しんだ世界を、ご覧になっている方々も深く体感できるでしょう。プーさんや仲間たちの「友達思いな全力さ」も魅力で、純粋な言葉にハッとさせられる瞬間もあります。

――これまでの公演で印象的だったことは?

 「プーさんが本当にいた」と言っていただけたのが何より嬉しいです。「観ているうちにキャストの存在を忘れる」と感想をいただいたときは、まさに目指していたことだと思いました。

▲多くの方に見てほしい、と養田さん

「灰になった街」が転機

――ミュージカル俳優を目指したきっかけは?

 子どものころから歌が好きでした。前橋高校では音楽部と演劇部を兼務し、顧問の先生に勧められてまえばし市民ミュージカル「灰になった街」に出演しました。特攻兵の岡島三千男役をいただき、ソロも任され、緊張と同時に大きな高揚感を味わいました。

 さらに母に連れられて観た劇団四季「ライオンキング」が決定打でした。冒頭の「サークル・オブ・ライフ」に身震いして、観る側ではなく舞台に立つ側になりたいと心に決めました。

▲2015年、「灰になった街」で特攻兵を熱演

――居酒屋で流しもやっているそうですね。

 はい。ボイストレーニングの先生に「音楽にふれる時間を増やすには流しもいい」と勧められ、「平成流し組合」に所属しています。渋谷横丁や吉祥寺のハモニカ横丁で歌うのは修業の場。40~50代のお客様が多いので、玉置浩二や中島みゆき、スピッツなどジャパニーズポップスを主に歌っています。

 そこから縁が広がり、9月27日には本庄市のホテル「五州園」で初のディナーショーをさせていただくことになりました。

▲会場で歌う養田さん

――これからの目標は?

 シンガーとして心を込めて歌い続けたいです。技術ではなく、心で伝わる歌を届けられる表現者になりたいと思っています。

――8月30日から東京、大宮、横浜とミュージカル『ディズニー くまのプーさん』は会場を関東に移します。前橋から行ってみたいと思う人にメッセージを。

 前橋には市民ミュージカルをはじめ、演劇や音楽に親しむ方が多いと感じています。萩原朔太郎の詩の街でもあり、「くまのプーさん」も詩から生まれた物語。ご縁を感じます。子どもは楽しく、大人は懐かしく、誰もが大切な何かを思い出せる作品です。ぜひ劇場に来て、仲間たちと100エーカーの森を一緒に冒険してください。

ミュージカル『ディズニー くまのプーさん』

●8/30(土)~8/31(日)
きゅりあん品川区立総合区民会館(8F 大ホール)
●9/13(土)~9/14(日)
埼玉RaiBoC Hall(市民会館おおみや)大ホール
●9/20(土)~9/21(日)
横浜市市民文化会館 関内ホール
※詳細は公式HPを参照

ようだ・りくや

1998年、前橋市生まれ。南橘中―県立前橋高―上智大。劇団四季研究生を経て、24歳で舞浜のテーマパークシンガーに。「平成流し組合」に所属し、都内の横丁で流しを行う。2023年、ミュージカル『ディズニー くまのプーさん』のオーディションでプーさん役に抜擢。2024年に全国10都市で公演、2025年も5月から9月まで6都市で再びプーさん役を務める。