watch
見たい
【萩原朔美の前橋航海日誌Vol.47】
見方を変えれば面白くなる
2025.07.16
今住んでいる前橋のマンションは、ケヤキウォークや幾つかのマンションの上に広がる空の変化が楽しめる。一日として同じ表情を見せないから飽きる事がない。最近はいきなり黒い雲が湧き出したり、遠方に巨大な雨柱が出現したりして、何やら四季のカタチが変わってきたような気がする。
当然、撮影するのはもっぱらベランダからの外景ばかりだ。室内は、トイレに座った自分にレンズを向けるぐらいのもの。これは、病院に提出する為のデータとしてメモ替わりに撮影し始めたら、面白くてやめられなくなった。(笑)
先日、何気なくレンズを天井に向けたら、見飽きた部屋が何やらモダンなデザインの空間に見えた。楽しくなって何枚も撮影してしまった。そうなのだ。外の風景は、自然が変化するから面白い。室内は、自分の視覚を変化させれば面白くなる。見方を変えれば、なんでも少しだけ素敵になるものである。もっとも自分の人生はいくら変化させても、面白くならないけれど。(笑)
Sakumi Hagiwara
萩原朔美(はぎわら・さくみ)
1946年11月、東京都生まれ。寺山修司が主宰した「天井桟敷」の旗揚げ公演で初舞台を踏む。俳優の傍ら、演出を担当し映像制作も始める。版画や写真、雑誌編集とマルチに才能を発揮。世田谷美術館に版画、オブジェ、写真のすべてが収蔵されている。著書多数。多摩美術大学名誉教授。2016年4月から前橋文学館館長(現在は特別館長)。2022年4月から金沢美術工芸大客員教授、2023年7月から前橋市文化活動戦略顧問。


