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「萩原朔太郎研究会 歴代会長展」
前橋文学館で10月1日から

2022.09.30

「萩原朔太郎研究会 歴代会長展」
前橋文学館で10月1日から

詩人・萩原朔太郎の没後80年の節目に、全国52カ所の文学館や美術館、大学などで朔太郎に関する企画や展示を行う「萩原朔太郎大全2022」が始まる。前橋文学館では10月1日から来年1月15日まで「萩原朔太郎研究会 歴代会長展」を開催。5人の歴代会長が朔太郎をどう捉えたか、著作や研究会会報の言葉から紹介する。

朔太郎を長年研究し、見えてきたもの

黄色、オレンジ、青、黄緑、赤。前橋文学館2階フロアがカラフルな色で彩られた。萩原朔太郎研究会の歴代会長5人を5つの色を使って紹介している。

「朔太郎大全のため、全国各地に当館の資料を貸し出し、館内が空っぽに。そこで、研究会の会長に焦点を充てた企画を行おうということになった。研究者の論文やリポートなどの中にこそ、本当の朔太郎が現れるかもしれない」と館長の萩原朔美さん。

萩原朔太郎研究会は朔太郎の国内外の研究者・愛好者からなる団体。1964年5月、第1回朔太郎忌をきっかけに設立され、今年で58年目を迎える。

初代と第3代の会長は詩人、伊藤信吉氏、第2代は詩人、西脇順三郎氏、第4代は詩人、那珂太郎氏、第5代は文芸評論家、三浦雅士氏、第6代は作家で詩人の松浦寿輝氏が務めている。「5人のうち、4人が日本芸術院会員というのがまずすごい。なかなかそんな会はない」と萩原館長。

▲展示について解説する学芸員の松井さん

初めに目に入るのは壁一面を使った研究会の年譜。設立から今日までの歩みを詳細に記している。

5つの会長ゾーンでは、それぞれが朔太郎をどう捉えたかを、著作や研究会会報の言葉から紹介。論じるという視点から掘り下げていく。その違いを見比べてみると面白い。

「5人を読み解き、理解するのはとても難しい作業でした。全員が“『月に吠える』が時代を変えた。言語革命を起こした”という共通認識を持っていることは興味深かった」と展示を担当した学芸員の松井貴子さんは言う。

▲伊藤信吉氏のゾーン

会長による記念講演も

会期中に記念講演も行われる。10月15日14時からは第5代会長の三浦氏が「実存主義を生きる」、12月4日14時からは第6代会長の松浦氏が「なぜ詩を<研究>するのか」と題して講演する。申し込みは前橋文学館へ電話(TEL.027-235-8011 )にて。

「言葉が薄っぺらになっているいまの時代。1人の詩人を何年も研究することから見えてくる、言葉や表現の重みやふくらみを感じてもらえたら」と萩原館長は話す。

▲色をたどって各会長のゾーンへ

▲文化人らの直筆の寄せ書きも展示

萩原朔太郎研究会 歴代会長展

日時:10月1日~1月15日、9時~17時

会場:前橋文学館 2階

観覧料:一般500円、高校生以下無料