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「ばばっかわ男」出現‼
馬場川通りに異彩放つ彫刻
2025.07.13
前橋市の馬場川通りにある複合ビル「ばばっかわスクエア」の屋上に妖怪のような彫刻「ばばっかわ男」が出現、話題を呼んでいる。作者は太田市出身の彫刻家、尾花賢一さん。中心街に屋外アートを並べるパブリックアートを普及させるため、ビルを所有する田中仁財団の田中仁理事長が制作を依頼した。現地で7月13日、お披露目会と両氏による対談が公開で行われた。
「気味悪い」か「かわいい」か
「ちょっと、あれ気味悪くない?」「いや、割とかわいいじゃん」。七夕まつりでにぎわう馬場川通り。風変わりな彫刻に気付いた若い女性がスマホで撮影すると、他の通行人も次々と撮影を始めた。
▲屋上に座り、釣竿を垂らす「ばばっかわ男」
▲男は何を見つめているか
彫刻は「ばばっかわスクエア」の本体に併設した2階建てのビルの屋上にある。足を投げ出して座り、馬場川を泳ぐ魚を狙うように釣り糸を垂らしている。
サイズはW(幅)720㍉×D(奥行き)1590㍉×H(高さ)2260㍉で、通りから見上げるとほぼ大人と等身大に見える。
素材はFRP(繊維強化プラスチック)。内部に鉄骨が入っており、強烈な空っ風にも耐えられるようにしている。
街並みになじむように
対談はアーツ前橋のチーフキュレーター、宮本武典さんがモデレーターを務め、尾花さんと田中さんが「ばばっかわ男」の制作裏話やアートによるまちづくりについて語り合った。
▲対談する尾花さん、田中さんと宮本さん(左から)
尾花さんはスケッチや制作過程の動画を見せながら作品について話した。造形には2019年に前橋市に長期滞在した際の印象から山伏や国定忠治に代表されるアウトロー的な要素とともに、「川の流れや魚、水草といった生態系を盛り込んだ結果、グネグネした頭部になった」と解説した。
最も悩んだのは色だという。当初は金色を想定したが、金色は作った時がピークとなると判断、「ふと見上げた時に、年を経るごとになじんでいくことが大きな特性になる」と、ブルーやくすんだ金を掛け合わせた配色の意味を説明した。
▲造形や色彩について解説する尾花さん
田中さんは「人によっては気味が悪いという声もあるが、それがアートに興味のない人も知らず知らずのうちにアートの世界に巻き込まれることになる」と好意的に受け止め、「話を聞くと深い意味があり、愛着が沸きました」と感謝した。
アートと街づくりについては、中心街の25㌶に「太陽の鐘」や今回の「ばばっかわ男」のようなパブリックアートを設置することで、「まちなかミュージアムにしていきたい」と構想を示した。
国と群馬県、前橋市が取り組む県庁からJR前橋駅までのトランジットモールにも「1500㍍の公園ができ、街が随分と変わる」と期待を寄せた。
▲「まちなかミュージアム」構想を明らかにする田中さん


