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馬場川通りにジャスパー・モリソンのトイレ
来春完成に向け工事急ピッチ
2023.12.05
英国・ロンドン出身の世界的なプロダクトデザイナー、ジャスパー・モリソンがデザインし、一級建築士の高濱史子さんが設計・建築を担当する公衆トイレが来春、前橋市の馬場川通りに誕生する。民間主導で進んでいる馬場川通り改修事業の一環。ジャスパー・モリソンが手がける建築物はスイス・バーゼルの「ヴィトラ キャンパス」入口にあるバスストップに続いて、世界で2番目という。(取材/阿部奈穂子)
周囲に溶け込むシンプルの美
簡潔で普遍的な「スーパーノーマル(普通を超えたふつう)」を提唱するジャスパー・モリソン。家具や照明、カトラリーなどのデザインを数多く手がけ、インテリア業界でいま、最も注目されるデザイナーが馬場川通りの公衆トイレをデザインした。
ジャスパーのデザインを図面に落とし込み、建築の指揮を執るのは高濱史子さん。中央通り「つじ半 前橋店」のレンガ店舗を手掛けた若手有力建築家だ。
トイレの場所は馬場川通りの東端で、中央通りと交差する付近。
馬場川通りは現在、民間と行政の連携で改修工事が進んでいる。道路にはレンガを敷きつめ車道と歩道の段差を無くし、川沿いにはベンチやデッキを設けて安全に水辺空間を楽しめるストリートに変わる。トイレの建築はその一環。
ハンディキャッパー用と子ども連れ用
トイレは外壁に国産材を使い、キャビン(小屋)をイメージしたつくり。屋根はガルバリウム鋼板。無駄を省き、華美な装飾は加えず、馬場川の景観に溶け込むデザインになっている。
内部は従来の公衆トイレのつくりではない。「ハンディキャッパー用」と「子ども連れ用」の2室のみ。
大便器、小便器のほか、ハンディキャッパー用にはオストメイト対応トイレや大人のおむつ替えができる台、車イスから移乗しやすい手すり。子ども連れ用にはベビーシートやベビーキープが設置される。
また開放された入口ポーチには手洗い場を設け、誰でも気軽に利用できる。
「さまざまな条件を持つ多くの人が、中心街を訪れられるためのトイレです」と前橋デザインコミッション企画局長の日下田伸さん。
同じ馬場川通りに建つ白井屋ホテルには、ジャスパーがデザインした「ジャスパー・モリソンルーム」がある。大きな木の箱のような部屋で、圧倒的な存在感を誇る。
ジャスパーが前橋に贈る二つ目のプレゼント、馬場川トイレは来春完成予定だ。