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杉本真維子さんの「皆神山」に
第31回萩原朔太郎賞決まる

2023.09.01

杉本真維子さんの「皆神山」に
第31回萩原朔太郎賞決まる

優れた現代詩を讃える「第31回萩原朔太郎賞」は杉本真維子さんの詩集「皆神山(みなかみやま)」に決まった。前橋文学館で9月1日、選考委員会が開かれた。杉本さんは「憧れの詩人の背中を追いながら、張り巡らせた神経から人間やこの世のありようをつかんでいきたい」と喜びのコメントを寄せた。

言葉の自在さを高く評価

「皆神山」は2023年4月に発刊した杉本さんの第4詩集。24篇が112㌻に収録されている。思潮社。

選考員の佐々木幹郎さんは「山について語っているものではなく、作者の日常生活そのものが対象。言葉が動き出して作者をからかうような自在さが素晴らしい」と講評した。

▲講評を述べる選考委員の佐々木幹郎さん

受賞の知らせを電話で聞いた杉本さんは「大変うれしく思っています。朔太郎の『詩とは感情の神経を掴んだものである』という言葉に強く共感しています。憧れの詩人の背中を追いながら、張り巡らされた神経から人間やこの世のありようをつかんでいきたいと思います」と語った。

杉本さんには正賞としてブロンズの萩原朔太郎像、副賞として100万円が贈られる。贈呈式は10月28日、前橋文学館で開かれる。

受賞作は文芸誌「新潮」11月号に掲載予定。

萩原朔太郎賞は日本近代詩に大きな功績を残した前橋市出身の詩人、萩原朔太郎の業績を顕彰するとともに、近代詩の発展に寄与することを目的として、市制施行100周年の1993年に制定した。第1回の谷川俊太郎さん以来、これまで30人が受賞している。

主催は前橋市と萩原朔太郎賞の会。東和銀行が協賛している。

今回は昨年8月1日から1年間に発表された作品を対象に選考、「皆神山」をはじめ6作品が候補作品に選ばれていた。文月悠光さんの「パラレルワールドのようなもの」も高く評価された。

すぎもと・まいこ

1973年1月、長野市生まれ。埼玉県在住。学習院大文学部哲学科卒。2003年、第1詩集「点火期」を発表する。「袖口の動物」で第58回H氏賞、「裾花」で第45回高見順賞を受賞している。

 

第31回萩原朔太郎賞受賞作
杉本真維子『皆神山』
思潮社
2640円(税込)
A5判変型上製・112頁
2023年4月刊