【石川知恵子の4月の絵本】
『おおきな　ものの　すきな　おうさま』（講談社）

とにかく　大きなものが　好きな　王様。

屋根よりも高いベッドで眠り、プールのような洗面器で顔を洗い、庭のように広いタオルで顔を拭いて　やっと一日が　はじまります。

チョコレートが大好きで、百年かかっても食べきれないほど　大きなチョコレートを　作らせて、毎日お召し上がりになったので　とうとう虫歯になり「いたいぞ。いたいぞ。」とお泣きになりました。

歯医者が　かけつけたのに

「そんな　小さな　釘抜きで　抜くのはいやじゃ」と　国じゅうの　鍛冶屋に　それはそれは大きな　釘抜きを　作らせて　それはそれは　小さな虫歯を　抜きました。

お城のように　大きな大きな　植木鉢に

赤い　チューリップの球根が　ひとつ　植えられました。

王さまは　毎朝　この植木鉢を　ながめるのが楽しみです。

きっと　大きな　大きな　チューリップが

咲くに違いない　と　思っておられるのです。

果たして……

どんな花が咲いたでしょう？

あとがきに　安野光雅さんは、「エジプトの王は　ピラミッドという巨大な墓をつくらせたが、大きな花を咲かせることだけはできなかった。生命を人間がつくることはできない。花ひとつ、虫ひとつが、かけがえのないものであることを思わねばならぬ」と書いています。

王様が登場する絵本を集めたコーナーを作りました。

皆さまがよくご存知の　グリム童話の「かえるの王さま」やアンデルセンの「はだかの王さま」をはじめ、優しい王さま、ユニークな王さま、怠け者の王さまのお話など　絵本に出てくる王さまはとっても魅力的です。

是非　読みに来てください。