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十割蕎麦の宗庵 8月末で閉店
「最後まで心込めて打ちます」

2023.08.10

十割蕎麦の宗庵 8月末で閉店
「最後まで心込めて打ちます」

十割蕎麦で土、日のみ営業する「手打そば 宗庵」(吉岡町大久保)が8月27日で閉店する。店主、篠原宗應さんが右手首に腱鞘炎を負い、蕎麦打ちが困難になったため。「納得する蕎麦をお出ししたい。最後まで心を込めて打ちます」。蕎麦職人としての集大成を飾るべく、気合を入れて厨房に立つ。

最高の素材でたっぷりの蕎麦

茹で上がった蕎麦を水道水と蒸留水で粗熱とぬめりを取り、大量の氷水で締める。「冷たい水が喉越しをよくしてくれる」と秘訣を教えてくれる篠原さん。手早く盛り付け、揚げたての天ぷらとともに急いで客席に届ける。

▲最後に氷水で締めることで強いコシと滑らかな喉越しが生まれる

▲三たての十割蕎麦に熱々天ぷらの盛り合わせ

▲細く長く美しい蕎麦

建設会社を経営する傍ら、長年の蕎麦の食べ歩きが高じて独学で蕎麦打ちを覚えた。店を構えたのは8年前。「半分道楽だから」と採算をあまり考えずに蕎麦粉や出汁に最高の素材を使い、たっぷりの量の十割蕎麦を一人前900円という価格で提供した。

「蕎麦には相性がある。嫁さんと一緒」と笑わせる篠原さん。店を手伝う奥さんの優子さんは「十割はぼそぼそして短いのが多く、敬遠していたけど、主人の打つ十割を食べてから好きになった」と夫唱婦随する。宗庵の蕎麦にはまった蕎麦喰いが県外からも押し寄せ、すぐに人気店となった。

腱鞘炎悪化で閉店を覚悟

経営者との二刀流で頑張ってきたが、1年前から右手首に痛みを覚えた。「手を使い過ぎたのが原因だろう」と苦笑する。痛み止めの注射や薬でごまかしてきたが、次第に指がよく広がらなくなり、暖簾を下ろすことを決意した。

「お客さんには申し訳ないが、もう限界。自分も寂しいが、やれるだけのことはやった。最後の一枚まで心を込めて打ちます」。すがすがしい表情でそう語る。

▲店構えも風格のある宗庵

営業日は8月12、13、26、27日。午前11時30分から蕎麦がなくなり次第終了。1日40食限定。

「食べたい」の宗庵の記事はこちらへどうぞ↓

https://mebuku.city/gourmet/gourmet-20548/