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【貴方を薔薇に会わせたい-▶1】
日本はバラの自生地だった
2023.05.16
敷島公園門倉テクノばら園の『春のばら園まつり』が始まりました。色とりどりのバラが咲き乱れ、爽やかな風に甘い香りを放ちながら、ゆらゆら身を任せています。穏やかなバラのお話しを少し…。(文章/ 青山美奈子)
文豪が愛した美しいバラ
園内は1867年に改良して作られた『ラ・フランス』を境に北側がオールドローズゾーンとなっております(蚕糸記念館の東側)。
リヨンの育種家ジャン・バティスト・ギヨ・フィスにより発表された『ラ・フランス』はハイブリッド・ティーローズ第1号のバラで、中国のバラであるロサ・キネンシス(和名:コウシンバラ)を原種に持つ四季咲き品種として知られています。
以後、『ラ・フランス』誕生以前のバラをオールドローズ、誕生以降のバラをモダンローズと称してさまざまな改良が行われてきました。
ここで少しバラの歴史を探ってみましょう。
バラの起源は7000万年前とも、3500万年前とも言われています。チベット周辺、中国からミャンマーにかけて野生の原種が多く生息していることから、このあたりで生まれた可能性が高いのではないかと考えられています。『ロサ・シノウィルソニー』という白い小さな野バラが原種とされています。
実は、日本はバラの自生地として世界的に知られているのはご存知ですか? 現在、世界には約250種の原種を含め1万9000種以上のバラがあるとされていますが、そのほとんどが、野生の原種が多く生息しているアジアから日本にかけての自生種8種類に行きついてしまうのだとか。
品種改良に使用された原種のうちの3種類、『ノイバラ』、『テリハノイバラ』、『ハマナス』は日本原産なのです。
『潮かをる北の浜辺の 砂山のかのハマナスよ 今年も咲けるや』
園内にある香りのゾーンにも、石川啄木の好きだった『ハマナス』が元気に咲いていて、香りも抜群です。
バラで有名な歴史上の人物というと、クレオパトラやマリーアントワネットを思い出す方が多いはず。さまざまな由縁のバラを観ることが出来ます。
このオールドローズエリアには、『グルス・アン・テプリッツ』(和名:日光)と言うバラが咲いています。香りも爽やかで、微風に花茎が揺れる美しさが特に心惹かれるこのバラ、実は宮沢賢治が愛したバラと言われています。
『宮沢賢治はなぜこのバラを好きになったのか?』。続きは園内のバラガイドさんにお任せしましょう。
『風の又三郎』のように成長段階には見えたけど、成長すれば見えなくなるものも多いなか、バラを観ているとなかその美しい姿に、懐かしさを感じる、不思議な気持ちになります。
バラの香りに魔法をかけられ
私は『ニュードーン』の香りが母のお化粧の香りと重なり、幸せだった幼少期を思い出す好きなバラの一つです。
バラは私に安らぎを与え、母は私に自然を愛する心を教えてくれました。
どんな世の中になっても自分らしさは忘れない。バラの香りに魔法をかけられ、未来をも明るく照らすバラに魅力を感じられずにはいられません。
バラは何世紀にもわたり、多くの人々の想像を刺激してきました。
みなさんにも素敵なインスピレーションを与えてくれると思います。
ぜひ、敷島公園のバラたちに会いに来ませんか?
きっとたくさんのバラの中からお気に入りの一つが見つかると思います。
敷島公園門倉テクノばら園でお待ちしております。
あおやま・みなこ
ばら愛好歴28年。敷島公園観光連盟会長。敷島公園門倉テクノばら園ばら園まつり実行委員長。学生キャリアサポートを通して若い人たちにもバラの魅力と歴史的意義を受け継ぐ活動にあたっている。
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