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チンチン電車が見ていた前橋
明治からの名建築をイラストで復活

2022.09.01

チンチン電車が見ていた前橋
明治からの名建築をイラストで復活

前橋駅から渋川駅、伊香保温泉を結んだ路面電車が走っていたころ、前橋市内にあった建築物をイラストで描いた展示会「路面(チンチン)電車が見ていた、前橋」が9月1日、前橋平和郵便局で始まった。113万人もの人を集めた1910(明治43)年の1府14県産業共進会の会場となった建物や前橋市初の百貨店だった麻屋デパートなど、いまでは見ることのできない幻の名建築も並ぶ。

明治、大正、昭和の名建築

共進会を機に馬車鉄道から電気軌道に切り替わった路面電車は1954(昭和29)年まで走り続け、前橋の移り変わりを見つめてきた。展示会は当時、市街地にあった建築物に焦点を当てた。

主催は前橋工科大・臼井研究室(臼井敬太郎専任講師)。建物が写っている古い写真を探し、マジックでトレースし、白黒のシンプルなイラストに仕上げた。30点を時系列で展示している。

▲イラストを描いた臼井講師、北出さん、土屋さん(左から)

現在もその雄姿を残している建築物もあるが、旧日赤前橋病院や旧県議会議事堂をはじめ、建て壊されたものも多い。

共進会の会場の一つ、蚕糸館のあった場所はその後、群馬県師範学校(現群馬大)の校舎となり、現在はベイシア文化ホール(群馬県民会館)が建つ。「この街の同じ場所に素晴らしい建築物があったことに驚きを感じます」と土屋圭輔さん。北出涼大さんは「壊されずに残っていたらもっと面白い街並みになっていたと思う」と消滅した建築物を惜しむ。

作品はこのほか、臼井講師と石塚博貴さん、大塚悠利さんが担当。臼井講師は「明治、大正、昭和の名建築が失われることなくすべて残っていたら。令和の時代も路面電車が走り続けていたら。どんな街に育っていたでしょうか」と問いかける。

181回目のまちなか美術展

前橋平和郵便局は2004(平成16)年から「地域に開かれた郵便局に」(石井祐之局長)と、まちなか美術展を開いている。地域の美術、写真愛好家らに開放しており、今回で181回となる。

▲1909(明治42)年発行の前橋市全景図。失われた建築物は黄色のフラグ、現存する物は赤のフラグで示している

「路面電車が見ていた、前橋」

前橋平和郵便局

お問合せはこちら
027-231-1801
住所 前橋市平和町2-18-15
営業時間 9月1日~9月29日
9時~17時
定休日 土曜、日曜、祝日
協力 風と水のまち資料館、上州文化ラボ