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視力を失っても「あたしは ちょうこくか」
「本の家2」で絵本、作品を展示

2022.08.27

視力を失っても「あたしは ちょうこくか」
「本の家2」で絵本、作品を展示

眼の難病で視力を失った彫刻家、三輪途道(みわ・みちよ)さん=下仁田町=の作品と詩で構成する絵本「みえなくなった ちょうこくか」が出版された。前橋市中心街の絵本専門店「本の家2」は絵本を取り扱うとともに、8月31日まで三輪さんの作品を展示。27日は詩を手掛けたライター、立木寛子さん(前橋市)による朗読会が開かれた。

立木さんの朗読に夢中

「みる、ってなんだろう」「みえる、ってどんなこと?」。立木さんが絵本を開き、ゆっくりとした口調で詩を詠み始めた。「あたし」という一人称でつづられ、木彫をしていた時を振り返り、「あたしのまわりにいる たましいを ほった」と語る。

視力を失い困惑しながらも、「みえなくなった けれど あたしはあたし あたしは ちょうこくか」と希望を捨てなかった。子供のころの楽しかった粘土遊びを思い出し、粘土で造形を作り出す。

「つくりおわった きもちは おなじ」「たましいは おなじ」と喜びを見いだし、「みえなくても みえるんだよ」「こころで みているよ」と結んだ。

▲詩を担当した立木さんによる朗読

立木さんの声と田屋真弓さん(前橋市)による電子ピアノが流れる会場。参加者は目を閉じ、聴覚を集中させて絵本の世界に集中した。

自身も眼に障害を持つ内田真理子さん(前橋市)は「本当に勇気付けられました。見えなくなっても希望を捨てなくていい。これからの道が明るく輝きました」と感動していた。

▲「ともこのランドセル」

▲触れる「しじみの家族」

▲かわいらしい「パンツのありよう」

触って楽しむアート

会場には三輪さんの作品が並んでいる。洋服やランドセルの木彫が壁に掛けられ、粘土で作った「しじみ」シリーズはテーブルに置かれ触ることができ、視覚障がいがある人もない人も手触りでアートを楽しんでもらう趣向だ。

「みえなくなった ちょうこくか」はアートのバリアフリー化を目指すメノキ書房の初の出版物。木彫から新作まで温かみのある作品が写真で紹介されている。A3変型判フルカラー、32㌻。1980円。

▲発刊された「みえなくなった ちょうこくか」

店舗情報

本の家2

お問合せはこちら
027-212-7273
住所 前橋市千代田町2-7-25
営業時間 11時~17時
定休日 日曜、月曜、祝日

▲本の家2