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名物歴史研究者の魂こもる
前橋ワールドスクウェア
2022.08.31
金閣寺や清水寺、厳島神社、法隆寺五重塔などミニチュア歴史建造物に取り囲まれた家が、前橋市千代田町一丁目にある。近所の人だけでなく、遠くからも訪れる「映え」スポットになっている。家主で製作者の原進さんに話を聞いた。(取材/飯島あす香リポーター)
好きなものを自分らしく作る
「自分がかっこいいと思ったものしか作らないんです」と原さん。会社を退職後18年間、ミニチュア建造物製作に挑戦。写真などで目にし、気に入った日本の世界遺産を作る。その過程で、寺院の成り立ちや時代背景を調べる歴史研究家でもある。
作品の一つ、五重塔を見てみよう。初重から高く聳え立つ天辺の宝珠まで金ピカに塗られているのは空き缶の蓋。欄間はよくよく見ると100円均一ショップのコースターを切り取ったもの。不要になったものを生き返らせるという精神に感銘を受ける。
ミニチュアから日本史や自身のルーツを知る
世界遺産ミニチュアはただのオブジェではない。そこには「寺院の歴史や背景を知りたい」という探究心が詰まっている。さらに驚くことには、原さんはインターネットを使わない。図書館や資料館を訪れ、膨大な資料を集めて一つひとつ書き留めているのだ。今では自身の生まれのルーツを調べ上げている。びっしりと祖先の名前が書かれた大きな紙を見せてもらい、ミニチュア世界遺産より驚いたほどだ。
作品を見に来る人のために、修復作業も怠らない。夢は公民館などで群馬の歴史を語り伝えること。ものを、歴史を、家族祖先を大切に思う気持ちから生まれたミニチュア世界遺産。前橋のワールドスクエアを訪れてみてはどうだろう。ただしあくまでも個人宅なので、エチケットはわきまえて。