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【教えて金井社長】前橋×デジタル田園都市vol.2
まえばしIDはこうして生まれた

2022.08.26

【教えて金井社長】前橋×デジタル田園都市vol.2  
まえばしIDはこうして生まれた

「デジタル田園都市国家構想」に大きく関わることになった前橋市。その背景には「まえばしID」というシステムの存在があります。まえばしIDって何でしょう? 前橋市に本社を構えるIT企業「クライム」社長の金井修さんに、わかりやすく解説してもらいました。
(取材/阿部奈穂子)

顔認証で便利なサービス

――前橋がこれほどデジタル化に力を入れてきたことを、知らない市民は多い気がします。

「そうですね。今回、デジタル田園都市国家構想推進交付金の対象に選ばれたのは、前橋市が提出した『まえばし暮らしテック推進事業』の内容がとても優れていたことはもちろんですが、行政と民間が一体となってデジタル化に力を入れてきた歴史も、理由の一つだと思います。

『まえばし暮らしテック推進事業』は、『まえばしID』というシステムがすでにあったから計画できた事業です。一朝一夕で生まれたものではありません。これまでの長い時間と努力の積み重ねがあってこその採択だと思っています」

――まえばしIDってなんですか。

「インターネット上で自分の身分を証明するデジタルIDの一種です。

特長的なのは、電子署名法という法律にもとづいて、なりすましができないように、高度なセキュリティーで守り、ハッキング対策を万全に行っている点。そして、規制の強い分野から民間サービスまで、くらし全般に利用することができ、一人ひとりにぴったり合ったサービスを受けることができる便利さです」

――安心安全、しかも便利。スグレモノですね。

「個人のパーソナルデータは、自分でサービス事業者を選び、限定して使用許可を出せる『自己主権管理』をスマホ上で簡単に行えるようにします。自分に関するデータは一カ所に集中させるのではなく、分散型データ連携を基本とし、プライバシーを十分に確保しながら、データを集積していきます。

この便利で安全なまえばしIDは、前橋市在住者に限らず、前橋に通勤される他市の方、前橋出身者も持つことができるんですよ」

最適な医療、買い物etc.

――近未来という感じがします。

「例えば、事故に遭い、救急車で病院に運ばれたとします。そんなとき、自分が何も言わなくても、まえばしIDによって、〇〇町に住んでいる〇歳の〇〇さんであることがわかりますし、IDに搭載された健康データや受診データを使えば、その人に最適な治療を迅速に行うことができます。

ほかにも、前橋市民限定の割引や特別なサービスを受けられたり、銀行口座をヒモ付ければ、提携店舗のタブレットに顔をかざすだけで買い物ができたり。財布やスマホを持たずに電車やバス、タクシーに乗ることも可能になります。

まえばしIDがあることで、できることは無限大に広がっていくんですよ」

――まえばしIDはいつ頃から開発されていたんですか。

「2019年、前橋工科大理事長で日本通信の社長、福田尚久さんの発案で開発が始まりました。日本通信はスマートフォンを安全、安心に利用することを目的としたFPoSというシステムをお持ちです。ネットショッピングやインターネットバンキングの不正利用ができないよう、インターネット上で、利用者が本人であることを証明するシステムです。

このFPoSの技術や考え方を元に、約3年かけて開発されたのがまえばしIDです」

 

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