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蘇る前橋旧町名の記憶
「旧町名への旅」復刊

2026.08.01

蘇る前橋旧町名の記憶
「旧町名への旅」復刊

 絶版となっていた前橋商工会議所の冊子「旧町名への旅」が15年ぶりに復刊、第2版が発行された。「おじいちゃんとボクが訪ねた町」をサブタイトルに70歳の元郵便局員の祖父と高校2年生の孫が桑町や紺屋町、横山町などと呼ばれた旧市街44町を訪ね歩き、町名に刻まれた歴史や文化を会話形式でひもといていく物語。復刊を求める声を受けて1500部を印刷、販売している。

前橋商工会議所が第2版

 「旧町名への旅」は前橋商工会議所が2011年に発行した冊子。商工会議所の会報「商工まえばし」に3年間にわたって連載した記事をまとめた。

 歴史と地理に詳しい祖父が旧町名を知らない孫に優しく教えるように44の町名の由来や特徴を解説、親しみやすい形式で好評だった。

 旧町名はその土地の歴史や地形、文化や生活から付けられていた。紺屋町は染物職人が集まっていたのが由来。堀川町は武家屋敷の区域だった「砂堀・川窪」から1字ずつ採ったといわれている。

▲桑町を紹介するページ

 「旧町名への旅」ではにぎわった商店街、行列ができた映画館、常連客で活気づいた食堂、一世を風靡した企業など、それぞれの町が歩んだ時代の息遣いを丁寧に掘り起こし、豊富な写真とともに紹介している。

 ページをめくるたび、失われた街並みや人々の暮らしが鮮やかに蘇り、旧町名が単なる住所ではなく、「物語」を宿した名前だったことに気付かされる。

▲大正時代の榎町の銀座通り。映画館が並んでいた

▲昭和初期の紺屋町の馬場川通り

 著者は前橋市職員で群馬地名研究会会員として地名研究を続けた倉地啓仁さん。初版は当時、朝日印刷工業社長だった石川羚二さんが尽力し発行した。

mebukuで連載「旧町名の物語」

 前橋市の旧町名は1962年に施行された「住居表示に関する法律」に基づき、1965年から1967年にかけて段階的に現在の町名に変更された。

 一部を除いて、千代田町、大手町といった全国どこにでもある無機質な町名になっており、現在でも旧町名に愛着と誇りを持つ市民は多い。

 旧町名を後世に伝えようと、前橋市が2024年から旧町名の案内板の設置を始めたのを受け、前橋新聞mebukuはWeb版で「前橋旧町名の物語」を連載している。

 記事の中で「旧町名への旅」を紹介したところ、「冊子を読んでみたい」「コピーを譲ってほしい」といった問い合わせが前橋商工会議所へ相次ぎ、第2版の発行につながった。

 復刊にあたっては石川氏のおいで朝日印刷工業会長の石川靖さんが資金を提供した。

地図をみながら散策を

 「旧町名への旅」第2版は初版と同じくA4版48㌻。内容は初版をそのまま掲載したほか、新たに旧町名と現町名を併記した縦450㍉×横315㍉の地図を織り込み、持ち歩いて実際に訪ねられるようにしている。

 1部500円。前橋商工会議所と中央通り沿いにある「本の家2」、「本屋 水紋」で販売している。

▲水紋のコーナー