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学びたい
藤井編集長が選ぶ【みやま文庫この一冊▶4】
関俊治ほか編『群馬の山の文学』(第116巻)
2026.01.29
64年間にわたって群馬の歴史や文化を伝える図書を出版してきた「みやま文庫」には、郷土の英知を結集した「名著」がそろっています。これまでの刊行数は255巻。1冊1冊が貴重な文化遺産であり、群馬の宝です。その魅力を少しずつ、気ままに紹介していきます。(みやま文庫編集長/藤井浩)
関俊治ほか編『群馬の山の文学』(第116巻)
平成2年(1990)年3月刊
多彩な文人による珠玉の紀行文集
▼旧新田郡寺井村(現太田市)出身の登山家、木暮理太郎が奥秩父や上越国境、黒部峡谷などを取り上げた随筆、紀行文集『山の憶い出』(上、下、平凡社ライブラリー)を何度読み返してきたことだろう。
▼山そのものの情報とは別に、筆者が惹かれた雄大な自然の風景の描写や豊かな研究に基づく観察の言葉がなんとも魅力的なのだ。群馬の山々を題材にした随筆、紀行文二十六編を集めた本書『群馬の山の文学』には、そんな珠玉の文章がそろっている。
▼執筆者は、尾瀬の研究・保護に尽くした植物学者の武田久吉、『日本百名山』の著者、深田久弥、川崎精雄ら著名な登山家、赤城に足跡のある志賀直哉、山村暮鳥、関口泰、浅間山に惹かれた田山花袋、寺田寅彦、正宗白鳥ら作家、ジャーナリストたち。群馬の今井善一郎、川浦三四郎、猪谷六合雄、斎藤近衛らの随筆も読みごたえがある。
▲みやま文庫『群馬の山の文学』
みやま文庫の懐の深さ伝える名編
▼カバンに入れて持ち歩く本(もちろん、傷まないようにカバーをして)のなかの一冊。どの作品も、深い思索、省察が何気ない言葉として散りばめられ、知らぬ間に視野が広げられていることに気づく。すがすがしい気持ちになるのは、大島俊彦さんによる表紙絵「大水上山より、利根水源」の、穏やかに、包み込んでくれるようなスケールの大きな描き方のおかげだろう。
▼作品を選んだのは関俊治、川浦三四郎、大島俊彦、井田金次郎の四氏。「みやま文庫」の懐の広さを伝える名編だ。巻末の「群馬の山の関係資料」は貴重な文献資料であり、参考になる。この続編を何巻か編んでみたいと思う。
▲『群馬の山の文学』と表紙絵「大水上山より、利根水源」


