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前橋育ちの車海老です
内陸養殖成功、年末から出荷

2025.12.12

前橋育ちの車海老です
内陸養殖成功、年末から出荷

 高級エビの車海老が前橋市内で養殖されている。4月中旬に仕入れた稚魚は順調に育ち、12月下旬から1月にかけて市内の飲食店や一般向けに出荷、販売される。事業者は「上州海 THE JOSHU OCEAN」のブランドで海産物の内陸養殖を展開していく。

工場内で1万尾スクスク

 前橋市元総社町にある民家を改造した工場。直径4・7㍍の水槽が1つ、直径3・7㍍の水槽が3つあり、合わせて1万尾のエビが養殖されている。

 10㌢以上に育ったエビは海底を模した海の砂の中に潜り、ほとんどじっとしている。

▲車海老が育つ水槽。底は海底の砂を入れている

 養殖を始めたのは不動産や太陽光発電を手掛けるZENITH(前橋市元総社町、木村麻美社長)。事業の多角化を模索する中で、海水温の上昇や自然災害の影響を受けない海水魚の内陸養殖を計画。国内需要が高いものの輸入に依存している車海老に注目した。

 2年前から準備を進め、養殖が盛んな熊本県から稚エビ1万1000匹を仕入れた。

▲温度、水質をチェックする加藤さん

▲天然素材を使った浄化システム

 内陸養殖の最大のポイントは水温と水質の管理にある。水温は22度から24度に維持する。

 養殖用の水は海水に人工海水を混ぜ、サンゴの殻や炭で浄化しながら循環させることで、水質を保ちつつ新たに加える水を少なくしコストを抑えている。

 エビは成長過程で何度も脱皮を繰り返すため、殻が沈殿してしまう。「糞とともに小まめに取り除かなければ水が汚れ、エビの健康に害となる。これは手作業でやるしかなく、一番大変な作業」と養殖現場を担当する加藤将人さん。

 集めた殻は消毒、乾燥させ、飼料用に加工する計画も進めている。

▲13㌢ほどに育った車海老

 成長に個体差があり、大きくなったエビは小さいエビを共食いしないよう大きな水槽に移され、18㌢ほどになると出荷される。

老舗寿司店が仕入れ

 車海老は味、食感から人気が高い。ただ、一般に出回っているのはほとんどが正確には同じクルマエビ科に属すバナメイエビで、インドネシアなど東南アジアで養殖、冷凍され輸入されている。

 天然物の車海老はごく少量で市場に流通しているのは養殖物が多い。

▲飼育状態を確認する山本さん(左)

 前橋産の車海老を仕入れることになった市内の老舗寿司店、「鮨矢島」の山本和弥さんは「天草から養殖物を仕入れているが、味に遜色なく、すぐに手に入るので活きが断然いい」と高く評価する。店内の生け簀で生きたまま取り置き、踊り食いや塩焼き、ボイルした寿司ネタで提供するという。

 車海老はおがくずに入れて生きたままの状態か電解水で消毒して瞬間冷凍した活き〆で販売する。

 価格は生きたままの活き車海老が250㌘(9~11尾)8000円(消費税、送料込み)、500㌘(19~22尾)1万3000円、活き〆車海老が500㌘(12~14尾)9300円。

ヒラメ、フグの養殖を事業化 環境技術研究所

 地球温暖化に伴う海水温の上昇や海水汚染、台風の被害といったリスクを回避するため、海水魚の内陸養殖が広がっている。

 前橋市内では環境技術研究所(嶋田大和社長)が水道水でヒラメを養殖するシステムを開発、2020年から市内のレストランや寿司店に出荷している。

 人工海水を活性炭に加え、複数のバクテリアやオゾンの力で浄化させることで海水を補充することなく循環して使用する独自システムを確立。養殖で一般的な薬品を一切投与していない。

 2023年にはフグの養殖に成功、割烹やフランス料理店で使われている。

店舗情報

ZENITH(ゼニス)

お問合せはこちら
027-290-1280
住所 前橋市元総社町2393-3
ホームページ https://www.tjo.net