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創業270年の小松屋陶器店 
5月15日閉店、店舗は取り壊しに

2024.02.07

創業270年の小松屋陶器店 
5月15日閉店、店舗は取り壊しに

前橋市千代田町で270年間続く「小松屋陶器店」が5月15日に店を閉める。閉店セールとして店舗内の商品を定価から半額、さらに30万円以上の高額商品は7割引きにする。人間国宝の作品や価値のあるお宝がたくさん残っている。「江戸中期に創業し、地域の方々にお世話になって来た。最後の恩返しです」と11代目の関川佳寿子さん。陶器好きは足を運んではどうだろう。(取材/阿部奈穂子)

生活スタイルの変化とともに

店舗の入口には「全品半額」「閉店セール」と書かれた貼り紙。長年、貼られていた。

「父が亡くなった2020年に閉店しようと決めて貼ったのですが、お得意様から『もう少し続けて』と頼まれて、店を開け続けてきました」と、11代目の関川さん。

それから4年、本当の閉店セールが始まった。

▲4年前から全品半額は貼られていた

国道17号沿いに建つ小松屋陶器店は江戸時代半ばに創業。かつては全国各地の産地から、船を使って水路で届けられた陶器を小売りするほか、県内各地へ卸売りしていた。

昭和に入ってからは小売り中心に転向。10代目の荒井達郎さんは飛行機で産地に飛び、良い品を目利きして買い付けてきた。結婚式や葬式の引き出物や贈答品として、仕入れるそばから売れた時代もあったという。

▲荒井さんが最も気に入っていた有田焼の壺と同柄の大皿

しかし、近年は安価な食器が出回り、贈答品の需要が減るなど生活スタイルの変化で売れ行きは減少。荒井さんの跡を継いだ二女、関川さんは5月15日で創業270年の店を閉じることを決意した。

土地と建物は売却が決まり、店舗は取り壊しとなる。

▲店に立つ関川さん

お宝いっぱい 閉店セール

店に入ると、100円の茶碗やお猪口から、数100万円の壺や置物まで、たくさんの陶器が並ぶ。

「店内だけでなく、蔵の中にもたくさん眠っています」と関川さん。

ガラスケースの中には人間国宝や名だたる作家の作品が並ぶ。ちょっとした博物館のようだ。

店内で一番高価な商品は九谷焼の壺。底には「光崖」の刻印があり、定価280万円。

▲九谷焼 光崖の壺

ほかに人間国宝が作った酒器や名だたる作家が手がけた茶碗などもずらり。

閉店セール第一弾は、全品半額のほか、定価30万円以上の商品は7割引(一部除外あり)で販売する。

▲有田平戸焼の香炉

▲清水焼の唐獅子牡丹柄の大鉢は直径37㌢

▲人間国宝の作った酒器

店舗情報

小松屋陶器店

お問合せはこちら
027-231-5010
住所 前橋市千代田町2丁目2-13
定休日 水曜