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遊びたい
「違う」みんなが主役
県庁で11月9日、「ともくら祭」
2025.10.27
多様な背景を持つ人々が混ざり合い、「共に楽しむ」ことを理念に掲げる「ともくら祭」が11月9日、群馬県庁広場で開かれる。国籍や宗教、言語、障害の有無に関わらず、誰もが参加できるお祭りを目指して企画された。こども縁日やキッチンカーなど、食や遊びを通じて交流する一日になる。
「違っていい」を当たり前に
人の背景は、見えない。言語も宗教も、家庭環境も、事情も、外からは測れない。だからこそ、「違いがあって当たり前」を出発点にしよう――。この挑戦から「ともくら祭」は生まれた。
主催は特定非営利活動法人「共に暮らす」。外国にルーツを持つ子どもや家族と向き合い、一人ひとりが「ここにいていい」と思える居場所づくりを続けてきた団体だ。代表理事のアジス・アフメッドさんは「このお祭りは、集まるすべての人が主役。違いを魅力として響き合わせたい」と話す。
日本の伝統的なお祭りの形式を踏まえながら、誰もが気軽に参加できる場を目指す。深い理解がなくても、あいさつを交わせばいい。自然な交流を通じて、地域の共生文化を育てていく狙いがある。
▲代表理事のアジスさん
子どもが担う輪と食のつながり
注目は「こども縁日」だ。出店の企画から受付まで、子どもたち自身が担う。県内の大学生もサポートに入り、成功体験の機会を生む。「ありがとう」と言われる体験は、子どもたちの小さな自信になる。
「こども運動エリア」では、スポーツを通じて国籍や年齢の違いを越えて交流できる。体を動かす行為は、言葉よりも早く距離を縮めてくれる。
フードダイバーシティへの配慮も進める。「キッチンカーエリア」では宗教や体質、ライフスタイルに対応した飲食を用意。ハラール対応などにより「食べられるものがない」という状況をなくす。食は、人と人を近づける言語になる。
会場中央にはやぐらを設け、誰もが輪に入れる体験を提供。出店エリアには世界の遊びを紹介する団体が並び、体験を通じて互いの違いを知るきっかけをつくる。
ともくら祭の根底には、「共に悩み、共に笑い、共に生きる」社会への思いがある。違いを否定しないこと。ちがうから面白いと認め合うこと。そして、行きたいのに行けない人を一人でも減らすこと。
アフメッドさんは言う。「今日この日が、地域と社会が優しさで結ばれる一歩になれば」
アジズ・アフメッド
1999年、パキスタン生まれ。9歳の時、日本に移住する。前橋西高-共愛学園前橋国際大国際社会学部卒。小学生時代から動画を制作。大学在学中に起業、動画や写真を撮影・編集する「NowNevere.L.L.C」を設立する。


