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聞きたい

【聞きたい赤城神社禰宜 塩原恭子さん▶︎】赤城山未来予想図Ⅲ

2022.08.03

【聞きたい赤城神社禰宜 塩原恭子さん▶︎】赤城山未来予想図Ⅲ

「変わることと変わらぬこと」

赤城山を象徴する観光スポット「大沼」。原生林に囲まれたカルデラ湖は四季を通して豊かな顔を見せる。眠りから覚めた春は山菜採り、涼やかな夏は自転車やランニング。登山は紅葉の秋、湖面が結氷する冬はワカサギ釣りを楽しめる。手つかずの自然を生かしつつ、体験型観光地として磨きをかけよう。湖畔の経営者たちが未来予想図を描く。

▲赤城山頂未来予想図を描く青木猛さん、塩原恭子さん、塩原勲さん、林智浩さん(左から)

女性の願いをかなえてくれる

―塩原さんは群馬県外の出身ですね。赤城山との縁を教えてください。

私は前橋市内の銀行に勤務していたとき、赤城山の広報を担う「淵名姫」に選んでいただきました。仕事で観光PRをしているうちに、すっかり赤城山のとりこになってしまいました。縁あって、赤城神社の「姫」となりましたけど(笑)。

―「女性の願いをかなえてくれる」という赤城神社の伝説を体現したわけですね。

はい、そうなりますでしょうか(笑)。観光の仕事を通じて、現在の宮司と知り合いました。赤城神社は「赤城姫」「淵名姫」の伝説から昔から女性の願掛け神社として知られています。

―上州は「かかあ天下」の国。働き者で元気な女性がいます。

赤城山にもたくさんいらっしゃいます。飲食店でも中心になって切り盛りしているのは女性の方が多いかもしれません。お年を召されても、輝いている素敵な女性を見かけます。

―赤城山の最大の魅力はどこにありますか。

手つかずの自然が残っているのは大きな財産ですね。原生林があり、大沼、覚満淵、小沼と個性の違う3つの水辺があります。変に観光地化されていないところが好きです。

―赤城神社は大沼湖畔に浮かぶ島の中にありますね。とても神秘的です。

半島状に突き出た小鳥ケ島に鎮座します、全国的にも珍しい立地です。もとは地蔵岳の中腹にあったのですが、大同元年(806)年、大沼南端に移り、1200年以上の歴史を誇ります。

人気の御朱印帳、お守り

―バブルが弾け、赤城山への観光客が落ち込んでいます。赤城神社の参拝客はどうですか。

バスの団体客がずっと減っています。この3年はコロナの影響でほとんどなくなりました。御朱印がブームとなり、女性が個人やグループでお越しになります。それでも全体ではかなり減りました。好きなときに好きな場所に大好きな人と出かけられるようになることを願ってやみません。

―赤城神社の御朱印帳やお守りも赤城山のお土産になりますね。

女性の願いをかなえてくれるといわれ、素敵な男性に巡り合える縁結びや「美しい娘が生まれる」との言い伝えもあって安産や子授のお守りもあります。女性だけでなく、男性もご一緒にどうぞ。

―お守りといえば、赤城山の活性化を目指し活動している「赤城やる気塾」がワカサギ釣り用のを作るようお願いしているとか。

氷上ワカサギ釣りは大沼の冬季最大の目玉ですからね。大沼のワカサギ釣りはとても難しいと聞いています。日本各地の神社に漁の安全や大漁を祈るお守りがあります。どんな形にしようか、宮司と話し合っています。

―アウトドア用品で人気のスノーピークが赤城山の活性化に協力します。どの辺に期待しますか。

テントでも焚火台でもスノーピークさんのグッズやウエアは自然の中にありながらも、すごくおしゃれで憧れていました。女性からみると、デザインは大事な部分です。赤城が洗練されてくるとワクワクしますね。これまでの赤城山になかった魅力が生まれそうですね。一方で、私どもは歴史あるこの神社を守っていきます。ずっと変わらないことも大事。どのように変わり、どのように変わらないか。新しい時代の形を求め続けていきたいです。

しおばら・きょうこ

1975年10月、秋田県生まれ。前橋市内の都市銀行に勤務していた際、赤城山を広報する「淵名姫」に選ばれる。