interview

聞きたい

【聞きたい糸井さん2】
「広瀬川」と「太陽の鐘」

2021.07.20

【聞きたい糸井さん2】
「広瀬川」と「太陽の鐘」

いい動きがある時にそこに風を送る
川も鐘も、30年後みんな見ています 

-糸井さんは「故郷が苦手」と公言していましたが、いつのまにか前橋の再生プロジェクトを手伝うようになりましたね。

いい動きがある時にそこに風を送る、そのくらいのお手伝いなら僕にもできると思って。

(ジンズの)田中仁さんが(市街地活性化に)力を発揮しているのをみて、特にお役には立ちませんけど、ちょっと手伝うのはちょうどよかった。気も楽だし、楽しかった。

-スーパーシティ構想をはじめ、いろいろな「めぶき」が始まっています。30年後はどうなっているでしょうか。

珍しいことやっている分だけ残るんじゃないでしょうか。河原の石も珍しいのは残る。普通で素晴らしいのは朽ちてしまう。昔の権力者はだいたい珍しいものを造って残しているんですね。城とか、合理性から離れたものを造った。

いま前橋がやろうとすることは、決して合理的だからとか、売れるからとかと関係ない。こういうのあった方がいいね、なんていう、子供の夢みたいのが生まれているんですよね。なかなかできることじゃないと思います。

広瀬川に「太陽の鐘」を設置しましたよね。街の真ん中を流れる川に、鳴らすためにあるんじゃない鐘がある。川も鐘も、30年後みんなが見ています。そういうものがあることが強い。

太陽の鐘

▲広瀬川沿いに建てられた「太陽の鐘」

岡本太郎氏の「幻の造形作品」
【太陽の鐘】岡本太郎氏が1966年に制作した高さ6㍍の造形作品。長く倉庫に保管され、幻の作品とされていた。利益の一部を前橋のまちづくりのための寄付金として拠出している市内の企業グループ「太陽の会」が仲介や修復費用を負担、2017年10月、広瀬川河畔に設置された。

糸井重里(いとい・しげさと)1948年11月、前橋市生まれ。

前橋高-法政大文学部中退。コピーライターとして人気を集めたのを皮切りに、幅広く活躍するマルチクリエーター。沢田研二の「TOKIO」をはじめ作詞も数多く手がけ、企画制作したゲーム「MOTHER」シリーズは熱狂的な人気を集める。1998年にスタートしたウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」では、「ほぼ日手帳」をはじめ2021年の日本文具大賞グランプリを受賞したAR地球儀『ほぼ日のアースボール』、先月開校した「人に会おう、話を聞こう。」をテーマにアプリを通して届ける『ほぼ日の學校』など様々な商品開発、企画を手掛ける。