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【聞きたい ネコニスズ 舘野忠臣さん】
前橋生まれの「赤ちゃん」目指すはM-1優勝

2025.05.20

【聞きたい ネコニスズ 舘野忠臣さん】
前橋生まれの「赤ちゃん」目指すはM-1優勝

 「赤ちゃんです」。両頬に人差し指を当ててニッコリ。お笑いコンビ「ネコニスズ」の舘野忠臣さんは群馬県前橋市出身。2023年、40歳のとき、自身が「赤ちゃん」になるネタを始めてから、追い風が吹き始めた。気持ち悪くてかわいいいと人気を呼び、昨年のM-1準々決勝、「ツギクル芸人グランプリ」決勝進出と大ブレイクの兆しだ。
(取材/阿部奈穂子)

いじめっこ笑わせた才能

――いつからお笑い芸人を目指したのですか。

 中学2年からです。当時、ダウンタウンの松本さんの番組「一人ごっつ」で、何か面白い答えを一般に募集する「お笑い共通1次試験」というコーナーがあって。答えを教室で考えていたんです。

 その頃、僕はクラスメイトに若干いじめられていて。でも、いじめっ子が僕の答えを見て笑ったんですよ。いじめっ子を笑わすなんてとんでもなくすごい才能があるんじゃないかと思ったのがきっかけです。

――本格的にお笑いを始めたのは?

 大阪芸術大に進んで落語研究会に入り、仲間だった根本卓也くんと「野球家族」というコンビを組んで、お笑いのライブとかに出るようになりました。そこで知り合いがたくさんできて、好きな芸人さんができたり、刺激をもらったりしました。

――どんな芸人さんがお好きなのでしょう。

 好感度を気にしたり、モテようとしない人ですね。あと、不幸せに向かっている人。とことん、お笑いが好きな人って不幸せに向かっちゃう感じがするんです。人の幸せを見ても何もおもしろくないじゃないですか。ねたんだり、ひがんだり、そういうのを笑いにするのが面白いんで。

▲所属事務所「タイタン」の屋上で

髪とお肌の手入れ念入りに

――赤ちゃんのネタが大好評です。どうやって生まれたのでしょう。

 誕生したのは、2023年ですね。赤ちゃんの前に、かわい子ぶるおじさんキャラクター「ぶりっ子おじさん」で手ごたえを感じて。それを思い切り振りきって、赤ちゃんにしたんです。赤ちゃんなら傍若無人も許されると思いまして。

 もともと、僕、姉が2人いて、末っ子長男で甘やかされて育ってきたんです。そのまま大人になって…。普通、そんな奴は通用しないんですけど、赤ちゃんって言っちゃえば、周りが見方を変えてくれたり、わかってくれたりするんですね。「赤ちゃんだからしょうがないね」とかノリで言ってくれて、すごく生きやすくなりました。

――サラサラのロングヘアがトレードマークですね。

 赤ちゃんをやろうかなって思ってから、髪の毛を伸ばし始めました。もともとは普通の髪型だったんですけど、同じような髪型の芸人さんがたくさんいたんで、差別化を図ろうと。でも、長くしたらどんどん気持ち悪くなっちゃって。この気持ち悪いのも含めて、「赤ちゃんです」って言ったら、なぜかウケ始めました。

――髪の毛は特別なケアしているのですか。

 お風呂に入るときはお湯で下洗いしたあとに、シャンプーしてトリートメントして。しっかりブラシを入れて整えます。乾かすときはドライヤーの温風と冷風を交互にして、半乾きのときにオイルを馴染ませてます。

――手間がかかってますね。お肌もきれいです。

 本当ですか。うれしいです。メディアで周りの芸人さんから、「肌汚いな」とか突っ込まれているのを母が見て。僕、たー君って呼ばれてるんですが、「たー君、汚いのはダメだよ」って言って、高価な基礎化粧品を送ってくれたんです。いまだに甘やかされてます。

▲赤ちゃん、穴にはまる

YouTubeで親子漫才

――2024年「ツギクル芸人グランプリ」で決勝進出されました。

 つまり今年来るってことですよね。多分、おじさんがかわい子ぶってることをおもしろがってくれる人が増えてるのかもしれないです。

――これから、赤ちゃんはどんな風に進化していくんですか?

 例えばサザエさんのタラちゃんみたいに永遠に年を取らないキャラクターになろうと思ってます。赤ちゃんって別に面白いこと言わないしやりません。周りの人が突っ込んでくれて面白い感じになる。それにもう乗っかって、もう頼りに頼って生きていきたいです。

――いままでは自分で切り開いていかなきゃって感じだったんですか。

 そうですね。自分が面白いことをやって行くんだみたいな強い気持ちだったんですけど、どんどんなくなっていきました。

▲電車に手を振る赤ちゃん

――ご実家のある前橋に帰省されることもありますか。

 年に2,3回なんですけど帰省して、父と漫才してます。父はYouTubeで「生き活き習慣」っていう変なチャンネルやってまして。実家に帰ってゆっくりするとかじゃなくて、YouTubeの撮影を10分くらいして、ご飯食べて、日帰りするみたいな感じです。

――父子漫才での役割は?

 ツッコミです(笑)。

――どんなお父様なんでしょう。

 父は74歳で、忠次郎っていうんですが、元々バイクレーサーだったんですよ。ヨーロッパで活動したりして。僕も子どもの頃から「好きなことをとにかくやれ。好きなこと以外やらなくていい」とずっと言われて育ちました。父に対しては素直に、かっこいいなと思います。

――最後にこれからの目標をお願いします。

 M-1優勝です。優勝したら、芸人の免許証をもらえる気がするんですよね。

 

▲父、忠次郎さんのYouTube「生き活き習慣」で親子漫才

▲赤ちゃん、あの小学校行きたい

▲ヤマゲン(写真右)とコンビを組み、ネコニスズで大活躍

たての・ただおみ

1983年、前橋市生まれ。荒砥中―前橋東高―大阪芸術大文芸学科卒。大学落語研究部時代に芸人デビュー。2012年、ヤマゲンとコンビを組み、ネコニスズ結成。タイタン所属。

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