前橋市出身の作曲家、山邊光二さんが出演　
10月５日「岩宿博物館サロンコンサート」

　父は声楽家、母はピアノの指導者と音楽一家で育った山邊さん。中学生の頃、兄からおさがりでもらったPCで作曲を体験。これが曲作りのきっかけになった。

　大学時代は現代音楽の先生に師事。作曲家の道を歩むこととなった。

　2023年度、35歳までの規定と言われる武満徹作曲賞に「最後のチャンス」と挑んだ山邊さん(当時33歳)。世界各国からエントリーがあったオーケストラ作品107の中から『アンダースコア』が第2位を勝ち取った。

　また同作品で国内最高峰とも言われる芥川也寸志サントリー作曲賞最終選考にノミネートされるなどいま、最も注目される若手現代音楽作曲家だ。

　そんな山邊さんが世界初演の2作品を発表するのが岩宿博物館サロンコンサートシリーズ。「博物館でサロンコンサートをさせていただく貴重な機会。マンモスが見守る中でのコンサートになります」と遊び心たっぷりに語る。

　このコンサートのために県内で活躍する若手演奏家がこの日だけの「岩宿カルテット」を結成。メンバーはフルート木村ひかりさん（前橋市出身）、ピアノ岡村梨奈さん（前橋市出身）、クラリネット橋本茉柚さん(太田市出身)そして山邊さん。

　出演者の木村さんは、山邊さんの初演作の楽譜を片時も離さず持ち歩き、想像を膨らませ本番に臨んでいる。

　初演の中の1曲は博物館をイメージした『Unshaped Mask』。敢えて訳すなら「不定形で、はっきりした様子が掴めないもの」。山邊さんいわく「シンプルな曲なので演奏者の阿吽の呼吸がずれると、たちまち聴き手に分かってしまう難しさはある」と明かすも「とにかくサロンコンサート開催にワクワクしていています。皆さんも愉しんでほしい」と呼びかける。

　今後について「出身の前橋で、作品を発表していきたい。また子供たちの作曲教室も前橋でできたら」と抱負を語る。世界が注目する若手現代音楽作曲家から目が離せない。