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【聞きたい ポール・ニクソンさん▶2】
未来は必ず書き換えられる

2023.11.24

【聞きたい ポール・ニクソンさん▶2】
未来は必ず書き換えられる

パッションを持って力を注ぐ

――前橋の課題を、どうお考えですか?

「前橋に限らず多くの地方都市にいえることですが、次の世代の子どもたちに何を示せるかが重要です。子どもたちが大きくなれば、おのずと都会を志向するようになる。でも、前橋はほかのどの都市と比べても、パッション(情熱)とインスピレーション(刺激)あふれる街だということを子どもたちが実感できれば『ここに居続けよう、ここで何かを始めよう』となります」

――そんな街にするにはどうしたらいいのでしょう。

「大人たちの生き様にかかっていると思います。何かを始めるときに、パッションを持って力を注ぐことが何より重要。スケールはある意味、関係ない。それが次の世代に対して必ずや良い影響を生むだろうし、未来への種まきになります。

田中仁さん(JINSホールディングスCEO)の地元への活動をつうじて、私自身、再認識したのは、魅力的な都市やコミュニティーはある日、突然生まれるものではない。どこかから寄与されるものでもないということ。人がそれを生み出し、長い期間かけて大切に育んでいって初めて叶うものだと、改めて気づかされました」

 

▲JINS PARKで田中さんと

――お話の中に、パッション(情熱)という言葉が度々登場します。

「Appleでスティーブから学んだ一番大きなことかもしれません。何をやるにもパッションが一番重要だと。汗も血も涙もすべて注いで一つのものを生み出すのです。

私の個人的な人生哲学で、常に自分に言い聞かせているのは、『未来は自分たちの力で書き換えることができる』ということ。それはビジネスだけではなく、人生においてもコミュニティーにおいても一緒。ありとあらゆるイノベーションは、そういう発想から生まれると考えています」

太陽系システムの中心に

――ポールさんはAppleでプロダクトデザイン、インタラクティブデザイン、webデザインなど、あらゆるデザインのリーダーを務めてきました。そんな幅広いデザインを一人の人間が担えるとは驚きです。

「自然以外のものはすべてデザインされています。Webサイトもスマートウォッチも、人が人為的にデザインしたもの。そう考えたとき、デザイン上の原理原則が見えてくる。『人が体験するものをどう作るか』です。

ヒューマニティー(人間性)や、人間の直感にどう訴えかけるか。究極は『課題をどう解決するか』だと思います。

そういう風にデザインという概念をとらえると、全然違う視界が開けます。やっていることは結局のところ問題解決。それが時計だろうとインターフェイスだろうと、そこにある課題をどう解決するかというアプローチで取り組めば、どんなデザインでも手中に入ってきます」

――そんなポールさんにお聞きします。これから前橋の街をどんな風にデザインしていったらよいでしょう。

「磁力というか引力というか、そういう地場を作っていくことが重要です。たくさんの惑星が周りを回る太陽をイメージしてほしい。引力を生めば、そこにおのずとさまざまなものが集約されてきます。新しいプロジェクトだったり、デザインやアートだったり。それぞれが次の呼び水になる。人も集まってきます。前橋が太陽系のシステムの中心になる、そんなイメージをいつも思い描いているといいですね」

 

ポール・ニクソン

1974年、米・アリゾナ州生まれ。2005年、Apple入社。18年間、apple.comのデザインクリエイティブディレクター、Apple watchシリーズの機能や特徴の開発、製品化をするリード・ソフトウェア・デザイナーなど要職を歴任。2023年6月JINSに入社。グローバル・チーフ・クリエイティブオフィサーとなる。

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