interview
聞きたい
【聞きたい 岡田修平さん▶1】
パリ五輪 前橋から挑戦状
2023.08.18
DJが演出する音楽に乗せて、即興で踊り、1対1でバトルするブレイキン(ブレイクダンス)。2024年のパリ五輪で初めて採用される競技で、岡田修平さんは日本代表を目指しています。好きな言葉は「ステイローカル」。生まれ育った前橋から世界に挑むのが「ダサかっこいい」。
「ダサかっこいい」を追い求め
――パリ五輪へのカウントダウンが始まります。
代表選考を兼ねたアジア予選、世界選手権が秋から続き、来年3月からは最終予選が開かれます。
ブレイキンがオリンピックの競技になるなんて想像もしていなかった。自分が代表を目指すことで、周りにいい風が吹いてくれたらうれしい。
ブレイキンの認知度を上げ、素晴らしさを伝えたい。地元の子供たちの目標になれるよう頑張りたいですね。
――夢はかないますか。
運もあるでしょう。でも、コツコツ努力していかないと、夢はつかめない。4月までは生活のために毎日、レッスンをしていましたが、週に2日にして自分の練習に特化しています。
自分のスタイルは「ダサかっこいい」。他の人がやるとかっこ悪いシルエットでも、通して見ると「映える」ようにダンスを構成している。
だれもやったことのない流れを考えるのが好き。自分のダンスの持ち味である表現力や独創性に磨きをかけ、このスタイルをブレずに突き進んでいく。結果は自ずとついてくるでしょう。
――最大のライバル、全日本王者で世界選手権でも準優勝したことのある半井重幸は21歳。他にも10代、20代の若きタレントが代表を狙います。
若い子はパワームーブなど派手な技とか、分かりやすい「音ハメ」を上手く使った踊り方をしますね。バトルしていても「すごいな」と感心する。
でも、自分はできないし、やりたくない。好きじゃないな。悪いけど、みんな同じよう。クセの強いヤツが出てくると面白いのにね。
自分の強みは他の人がやらない動きをやること。派手な動きだけでなく、入り方だったり、つなぎを大切にしている。ちょっと、ひねくれているかも(笑)。個性を前面に出して勝負します。
――前橋を拠点にしています。東京に比べてハンディを感じませんか。
東京はライバルが身近にいて、互いに高め合えるというのはあるかな。大会に出ないと、外の世界が見えないから。でも、東京に行こうと考えたことはなかった。「全員ぶっ倒すぞ」と心の中で叫んでいました(笑)。
「ステイローカル」を掲げています。前橋が好き。前橋で根を張って世界に飛び出すのが一番かっこいいでしょ。
クラシックバレエと空手
――ブレイキンとの出会いは?
15歳でした。高校受験のタイミングで、それまで習っていたクラシックバレエを辞めましたが、体を動かすのが好きで、極真空手を始めました。でも、人とコンタクトするのが嫌で…。
そんなとき、大好きな「ドラゴンアッシュ」のバックダンサーが踊るブレイキンに衝撃を受けた。一目ではまりましたね。
――どうやって覚えたのですか。当時は指導者もいなかったのでは?
ダンススタジオはあったけど、行きませんでした。DVD観ながら家の畳の間で踊ったり、学校の廊下や体育館でやったり。かっこつけてストリートで踊りたいと、中央通りにもよく出かけました。懐かしいですね。
おかだ・しゅうへい
1989年12月、前橋市生まれ。前橋五中-前橋南高-群馬大教育学部卒。全日本ブレイキン選手権で昨年3位に入り、今年は準優勝した。全日本強化指定選手Aランク。ダンサーネームはドラゴンアッシュの歌から「SHADE」。