interview

聞きたい

【聞きたい白川昌生×村田峰紀さん3▶︎】
「アートの街 マエバシ」を語る

2022.02.17

【聞きたい白川昌生×村田峰紀さん3▶︎】
「アートの街 マエバシ」を語る

ヨーロッパで美術や哲学を学び、地域の歴史や文化に基づいた表現を続ける白川昌生さん。身体感覚を研ぎ澄ませた圧倒的なパフォーマンスを繰り広げる村田峰紀さん。前橋市を拠点に創作活動にあたる親子ほど年の離れた2人が「前橋とアート」を語り合う。

白川「アートを身近に感じる街に」
村田「萩原朔太郎に続く人材を」

―アーツ前橋、どう評価しますか。

白川 一定の役割は果たしたと思う。前橋のアートの世界、作家であったり市民であったり、大きな刺激を与えたといえます。

村田 街中のハブになった。いろいろなコミュニティーがつながり、点だったのが線になった。館内だけでなく街に影響を与えました。でも、いまは違う。

白川 市とアーツの信頼関係を再構築する必要があるね。それと、アーツにもっと自立を認めるべきだ。予算、人事の権限がない。市の直営の文化施設ではあるが、あまりに自由度が低い。

村田 そうですね。予算が年々少なくなっていき、これまで館外でやっていた魅力的なアートプロジェクトができなくなってきた。

白川 日本中そうなんだけど、学芸員の待遇が悪い。非正規がほとんどで、雇用契約は単年。これでは腰を落ち着けて仕事ができない。正規を増やし、専門家を育てる必要があります。

村田  市がどれだけアートを重要視するか、本気度が試されますね。

―「アートの街 前橋」となる可能性は?

白川 イノベーションが経済や街づくりで注目されてきたが、アートも匹敵すると考える。文化度が低くなれば生活がすさみ、経済も落ち込みます。逆のことが言えるわけで、すぐに効果が出るものではないが、アートを身近に思えるような街にすることで活性化につながるのは間違いないでしょう。

村田 萩原朔太郎は全国的に知られている。前橋は「詩の街」と言われるわけですよ。アートでもそういう人が出てきて、若い人が「前橋はすごい」と思えるようになればいい。

白川 前橋の街は生き生きした動きが出てきたのではないか。希望は持てる。「アートの街」だと普通の人が意識することが大事でしょう。

しらかわ・よしお 1948年、福岡県生まれ。

しらかわ・よしお

1970年にヨーロッパに渡り、国立デュッセルドルフ美術大学を卒業。89年から北関東造形美術専門学校で指導するのをきっかけに前橋市に拠点を構えている。

むらた・みねき 1979年、前橋市生まれ。多摩美術大卒。

むらた・みねき

一心不乱に身体を動かすパフォーマンスに加え、ドローイングやインスタレーション、映像作品を発表。音楽を融合したイベントも開いている。