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そば処 武本庵
気品ある美しい田舎蕎麦

2025.11.18

鴨汁で豪快に啜る

 黒みがかった蕎麦は確かに田舎蕎麦です。「星」もあります。二番粉、三番粉に甘皮も入れるのでしょう。ただ、こんなに細く、気品のあるのは初めて。田舎といえば、太くて硬い。自分の中にあったそんな概念をぶっ壊してくれました。

▲繊細さを感じさせる田舎蕎麦

 二、三本そのまま手繰ります。北海道産の玄ソバを石臼で挽き、九一(蕎麦粉9対つなぎ1)で打ちます。馥郁たる新蕎麦の風味。田舎にしてよかった。

▲「星」が分かるでしょうか

 力強さも兼ね備えた蕎麦に合わせて鴨汁に。店の一押しです。鴨肉がたっぷり入った汁は強い旨みと脂が加わり、野趣あふれる味わい。鴨肉は噛むほどに旨みが広がります。これを引き立てるのがネギの香り。「鴨ネギ」とはよくいったものです。

▲厚めに切られた鴨肉が贅沢に入っています

 細く切り揃えられた蕎麦は熱い汁にも負けません。細くともコシはしっかりしています。

 七味もありましたが、山椒を勧められました。途中で適量を汁に振り掛けます。後味がさっぱりし、洗練された味わいに。鴨に山椒、合いますね。

 田舎は土曜、日曜限定。早い者勝ちです。

せうろにも輝く「星」

 せいろをお替りしました。こちらはつるりとナメコおろしで。雪のような白い更科系の蕎麦にも「星」は輝いています。田舎よりさらに細い超群馬県内で1番細いと思っています。

 ナメコおろしに濃い口の汁を入れて啜ります。瑞々しく、喉越しのよさが際立ちます。

▲「なめこ」。粘りで食感がよくなります

▲せいろの方が見つけやすい「星」

 店主の武本光伸さん(78)は50歳を過ぎてから脱サラして夢だった蕎麦店を開きました。

 「細く打つのには腕が要る。切れないよう薄くのし、包丁で均一に切らなければ…。あっという間の27年だったけど、これからも粋な蕎麦を味わっていただけるよう頑張ります」。名店と評価されるようになってもさらなる精進を誓っています。

▲うれしい蕎麦茶。緑茶だとタンニンのせいで味が分からなくなります

店舗情報

そば処 武本庵

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027-221-6776
住所 前橋市文京町4-12-3
営業時間 11時30分~14時30分
定休日 火曜