おでん やま平
透明感ある上品なおでん

熱々のおでんを口にし、熱燗でキューとやる。そんな季節になりましたね。関東風の濃い色のもいいし、牛スジ入りのこってりもいい。こちらは、透明感のあるすっきりした出汁の上品なおでんです。

季節ごとに変わるおでん種。適当に見つくろって盛り合わせてもらいました。出汁の入った鍋の取り皿「とんすい」が最初に配膳され、続いて出汁がたっぷり張られたおでんの土鍋が置かれます。

「冷めたら温めますのでお声掛けください」と60年続く老舗の３代目ご主人、藤井翔さん。やま平のおでんの命は何といっても出汁。日高昆布と特注した鰹節から丁寧に取り、塩で味付け。グツグツ煮立てない、ぎりぎりの熱さで提供します。

まずはダイコンから。箸がすーと入る柔らかさ。玉子やハンペンもそうですが、薄い色からは想像できないほど、味がしっかり染みています。出汁にはユズの皮が浮かび、あー、いい香り。

大好きな焼き豆腐、はんぺん、厚揚げはこのスープに最高に会います。シイタケからは出汁に旨味が加わる一方、シイタケにも旨味が凝縮します。

練り物はたっぷり辛子を付けていただきましょうか。さつま揚げにゴボウ巻き、海老しんじょ、ガンモドキ。ロールキャベツは鶏のミンチ入り、巾着は餅が入って食べ応えがありました。

やまいも短冊揚げ、霜降り馬刺しなど気の利いた一品料理もあります。アルコール類を含め、やや高めな価格設定ですが、再訪したくなるお店でした。