富士ホール
居酒屋使いできる寿司店

「いらっしゃいませ」。愛想のいい４代目、佐藤幸充さんが威勢のいい声で迎えてくれます。忙しそうに奥で天ぷらを揚げているのは女将さんの冨美子さん。聞けば、２階で24人の宴会が入っているとか。大変なときに来たようですが、「ゆっくりしていってください」の声に甘えさせていただきます。

晩酌セットをビールと刺身盛りでいただき、ゆっくりやりますか。刺身はマグロ、タコ、イサキの３点盛り。イサキは夏が旬。身が締まって上品な味わいです。

セットにはお通しも付きます。レンコンの入ったキンピラゴボウ。ビールによく合います。

「シマアジがあります。フライにしましょうか」。宴もたけなわ、残すは寿司だけとなり、気を遣ってくれました。それにしても、高級魚のシマアジをフライとは。贅沢ですね。ソースとタルタルソースを交互に使います。これもビールに合いますね。

ビールを飲み干したら秘密兵器です。ホッピーのレモンサワー。なかなか置いてある店がなく、こちらにきたら必ず注文します。強炭酸で甘さ控えめ。何にでも合いますが、手作り餃子をいただきます。

宴会は女性が多いようでアルコールはあまり出ませんが、その分、よくお食べになるようです。仲居さんからそんな報告を受けた佐藤さんは「じゃ、寿司を大きくするか」とシャリを多めに握っています。こんな気配りができるのが家族経営の店のいいところですね。

こちらも〆ますか。「鉄火巻き、真っ赤なところください」。中トロ鉄火も好きですが、飲んだ後は赤身が見事な鉄火がいいですね。うん、今夜も満足。

前橋地方裁判所前にある店は1946年、食堂として開店しました。真鶴の寿司屋で修業した佐藤さんは寿司や刺身を中心にしながら、気軽に入れる店の伝統をしっかりと守っています。