食い処 すぎのや
定食に熟練の技 光る

穴場の食堂を発見しました。大きな通りから少し入った住宅街。偶然、看板が目に入り、玄関を見て決めました。白い暖簾に屋号と「笑」の一字。「笑う門に福来る」。何だか縁起がよさそうです。

お品書きに「タイカス定食」を見つけました。タイの粕漬け。そういえば、しばらく食べてないな。よし、決まり。珍しく即決しました。

酒粕や味醂が入り、焦げやすい焼き魚です。「家ではよく黒焦げになったのを食べさせられたな」。なんて懐かしんでいたら配膳されました。さすが、プロ。焦げ目も美味しそうに焼けています。

ほんのり甘く、風味もあります。淡白なタイは上品な塩焼きより、こっちの方が断然旨い。ご飯にもよく合います。骨の周りも上手に取って、余すことなくいただきました。

副菜はたっぷりのサラダに菜の花、漬物。豆腐とワカメの味噌汁はきちんと出汁を取っています。どこにもある定食ですが、しっかりと仕事をしているのが分かりますね。

「毎日来る」という常連さんはお品書きにない特別メニュー。ふわっとした玉子焼きが美味しそう。とろろも付いて体に優しい定食です。

推定100㌔超の２人連れの会社員はギンダラと唐揚げの定食を注文、ご飯を大盛りと特盛りにしました。これが無料とはうれしいですね。

食後はコーヒーをサービスしていただき、しばし女将さんとおしゃべりしました。店主の杉本貞二さんは温泉旅館の板長を長く務め、40年前に自分の店を出したそうです。御年80歳。熟練の技が光ります。