interview
聞きたい
【飲食店の仕掛け人②】
「ザ・国民食」を磨き続ける
RIVER代表 和田卓也さん
2026.09.14
前橋八幡宮の北側にあるRIVER MEAT MARKET。向かいにはリバーズDELI、馬場川通りにはウレシイ餃子バル リバールがある。これらを手掛けるのが、RIVER代表の和田卓也さんだ。飲食店の運営に加え、弁当や餃子、ドレッシングなどの商品づくりにも力を入れる。「RIVERは飲食業ではなく、モノづくりの会社」と位置づける和田さん。その原点と発想、目指す先とは。
(取材/阿部奈穂子)
「アップル」が師匠です
――飲食の道に進もうと思ったきっかけは?
16、17歳ぐらいから漠然と自分の店をやりたいと思っていました。
きっかけは友達の笑顔。当時、父は製麺会社に勤めていて、廃棄間際の焼きそばなんかをよく持って帰ってきたんです。それを作って友達に食べさせて、喜んでくれる顔を見るのが快感でした。
――20歳からは、昼と夜でまったく違う仕事をしていたそうですね。
23歳まで、昼間は国会議員の地元私設秘書、夜は本町のスコッチハウス「アップル」でアルバイトをしていました。
アップルでは店主の村椿雄さんに、お酒、サービス、お客さまとの接し方、料理まで教えてもらいました。僕にとっては師匠です。ローストビーフやビーフジャーキー、オムレツも教えてもらいました。いまの仕事の基本を叩き込んでもらった感じです。
▲村椿さん直伝のローストビーフ
――2009年、24歳で独立しました。
最初はカラオケもあるダイニングでした。でも、料理で人を呼べる店でなければ地域で生き残れないと考え、アップルで学んだローストビーフのほか、和牛のハンバーグ、上州麦豚のローストポークなど肉メニューを看板にした店に変えたんです。それがのちに「RIVER MEAT MARKET」になりました。
上州麦豚のローストポークが2017年のT-1グランプリに選ばれたときはうれしかったですね。
▲いつも賑わうRIVER MEAT MARKET
テイクアウトはラブレター
――大きな転機になったのがコロナ禍だったとか。
非常事態宣言が出て、「飲食店をテイクアウトで助けてあげよう」みたいな空気があったじゃないですか。あれがすごく嫌だったんですよ。結構、屈辱的だった。
僕らは本来、お客さんに喜んでもらう仕事をしています。僕らがかわいそうなんじゃなくて、逆に、外食に行けないお客さんに対して何ができるかと考えたんです。
――何をしたのでしょう。
テイクアウトのリバーズDELIを開きました。外食に行けないなら、外食気分を味わえる弁当を提供しようと思って。
RIVER MEAT MARKETの肉料理を生かして、肉は炭火で焼く。野菜も山盛りにしました。ふたを開けた瞬間に華やかな気分になるような弁当です。
いまから考えると、会社にとっての大きな一歩だったけれど、当時は火の車でした(笑)。自分たちの存在価値と、会社としてお金を回すこと。その二つでせめぎ合っていました。
▲フタを開けると驚きが。リバーズDELIの弁当
――テイクアウトならではのおもしろさもあったのでは?
テイクアウトとかデリバリーって、僕は「ラブレター」みたいなものだと思っているんです。
飲食店なら反応がその場で分かる。でも、お弁当やデリバリーは時間差で返ってくる。後から、おいしかったよと言ってもらえたり、また注文してもらえたりする。違ったおもしろさがありますね。
変わらないために変わり続ける
――肉に加え、餃子には以前から思い入れがあったそうですね。
創業当時から、まちなかで肉汁餃子酒場「Rスポット」という店を4年ぐらいやっていました。僕は、もともと餃子みたいなザ・国民食が好きなんです。食卓によく出るものを、外食としてどう昇華させるか。そこが得意なところだと思っています。
Rスポットを移転する形で、2017年に馬場川通りに餃子と唐揚げの「リバール」を開きました。今は「ウレシイ餃子バル リバール」になっています。
▲馬場川通り、アーツ前橋の西隣に建つウレシイ餃子バル リバール
――さらに2023年、「嬉しい餃子商店」を開きます。
嬉しい餃子は、以前の肉汁餃子とは逆で、野菜中心。県産野菜を使い、野菜8割です。子どもからお年寄りまで食べられる「家族のスーパーフード」がコンセプト。
ずっと餃子をやってきたので、いつか餃子一本で勝負したいという思いがありました。でも、なかなか厳しかった。
リバーズDELIで弁当がうまくいった経験があったので、1年ぐらいかけて餃子屋から弁当中心に変えていきました。
そうしたら、結果的に餃子が回るようになった。餃子だけで売るより、餃子弁当にした方が、餃子が動いたんです。
▲大ぶりでジューシーな餃子
――いろいろな展開をされていますね。
あの手この手で、土俵際まで行って、なんとかやってきた感じです(笑)。
それだけに、鳥めしの登利平さんや築地銀だこのホットランドさんは一つの看板商品で広がっていく姿がめちゃくちゃ格好いい。すごくリスペクトしています。
先日、銀だこを改めて食べたらとてもうまかった。変わらないように見えて、ちゃんと時代と共に変わっているんです。
「変わらないために変わり続ける」っていうのは僕のポリシーでもあります。
▲事業について語る和田さん
飲食業からモノづくりの会社へ
――2025年には大友町に、製造・卸売の拠点「RIVERS WORKS」を開設しました。
餃子やシュウマイ、ドレッシングの製造やセントラルキッチン、新商品を開発しています。
製造は一部オートメーション化していますが、全部機械にすればいいとは思っていません。例えば餃子のキャベツは今でも手切り。こだわるところは残して、機械に任せられるところは任せています。
いま、自分たちは飲食業が得意な会社というより、モノづくりが得意な会社なんじゃないかと思っています。商品には全部、コンセプトを持たせています。
例えば「高山村の奇跡をまるごとビーツドレッシング」なら、有機JAS認定農園のビーツを使い、色だけでなく味わいまで生かす。生産者さんにリスペクトを持って商品設計しています。
▲人気の高いオリジナルドレッシング
――いま特に力を入れているのは?
スポーツ弁当の開発です。
朝受け取って、試合が終わってから食べることもあり、炎天下に置かれる可能性もある。今までと同じ作り方では駄目なので、独自に一から開発しています。
また来年1月には、高崎市住吉町にリバーズDELI高崎を出します。いまも高崎から多くの注文をいただいているので、西毛地域や埼玉県北部にも広げたいと思っています。
――最後に和田さんの目標を教えてください。
まずは、群馬を代表するお弁当事業を展開すること。
会社として掲げているコンセプトは、「よりよい店づくりを、街へ」。僕らがいい店をいっぱい作れば、それがいい街づくりにつながると信じています。
▲来年1月、高崎へ進出するリバーズDELI
【飲食店の仕掛け人①】「ポルコダイナー」を生んだ試行錯誤 パズール社長、田中伸志さん
前橋市内で5つの飲食店を展開する「パズール」を率いる。手がける店は肉バル、アジア料理、鶏とエビの店などバラエティー豊か…


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