interview
聞きたい
残そう 前橋テルサ
緊急市民集会に200人
2026.03.02
「前橋テルサ再生と中心市街地の未来を考えるシンポジウム」が3月2日、前橋市内で開かれた。登壇者や参加者からは「テルサは前橋市民の財産」「市民の文化、学習、芸術活動を支えてきた」と評価する声が次々に上がり、解体の危機にもある前橋テルサの再活用を求めていこうと盛り上がった。
市民の財産、街のランドマーク
パネルディスカッションには中心街を仕事場とする3人が前橋への思いや所有者である前橋市への要望を熱く語った。
主催者である前橋中心商店街協同組合の大橋慶人副理事長は「市民の共有財産であり、街にとってランドマーク」と位置付け、活用については「市が市民の声をどう受け止めているか。再開発事業を控え、まちなかに集まる機能とマッチしてほしい」と要望した。
▲大橋さんとモデレーターの小林幹郎さん
玩具店を営む黒田桂子さんは「フィットネスやプール、カルチャースクールがあり、来場者が街を回遊してお金を落としてくれた」と経済効果を指摘。市に対しては「情報の開示がなく、突然決まったと言ってくる。もっと透明性を高めてほしい」と注文を付けた。
最上階のレストランでプロポーズをしたという筝曲家の鈴木創さんは「いろいろな笑顔が集まることが大切。頑丈に造っているので、ぜひ残してほしい。テルサは市民の物。市民が納得する形で進めてほしいし、市民ももっと関心を持たなければ」と呼び掛けた。
▲黒田さん(右)と鈴木さん
ホールがないと文化衰退
パネルディスカッションに先立ち、大橋さんが前橋テルサをめぐる経緯を説明、専門家がそれぞれの立場から解説した。
建築家の神本豊秋さんは「建築の平均寿命30年を100年に伸ばしたい。テルサはあと60年持たせられる」と指摘した。
▲神本さん
前橋テルサでロビーコンサートを20年企画した中森隆利さんは「前橋市内のホールが危機的状況にある。集客施設がないと、文化は育たない」と警告した。
▲中森さん
群馬共創パートナーズの鏡山英男さんはSPC(特定目的会社)の仕組みや利点を説明、「業者が選定されてから出資者を募るのが一般的」と述べた。
▲鏡山さん
シンポジウムは前橋テルサの活用をめぐる前橋市の事業提案型公募の最終審査が間近に迫る中、前橋テルサを通して中心街の未来を考えようと企画。150人の市民が参加した。
4社応募、1社のみ最終審査
前橋テルサの事業提案型公募には4社が応募、書類審査で2社、その後の1次審査で1社の提案が不採択となり、最終審査に進むのは前橋市内に本社を置く1社のみとなった。
前橋中心商店街協同組合と前橋商工会議所は不採択となった提案を含めて比較検討できるよう小川晶前橋市長、富田公隆前橋市議会議長に審査の見直しを求める要望書を提出した。
中心協には3月2日に回答があり、最終審査は予定通り3月5日に非公開で開かれ、1社の提案を審議することが伝えられた。
提案が認められれば優先交渉権者に決まる。満足できる提案でなかったと判断された場合は市が解体する方針を示している。
前橋テルサをめぐる経緯
1992年、前三百貨店があった場所に前橋勤労者総合センターとして建設された複合施設。地上12階、地下1階。外観はレンガ調で、大正ロマンを醸し出す。雇用・能力開発機構と共同保有していた前橋市が2004年に買収。前橋市まちづくり公社が運営、市は施設維持費用として年間2億5000万円負担してきた。ホテル、プール付きのフィットネス、多目的ホール、大小の会議室、レストランがあった。
2009年に包括外部監査で存続の必要性に関して指摘を受け、2017年に廃止を決定した。2013年度から2022年度まで指定管理制度を導入して運営。2度にわたり民間への売却や賃貸を公募してきたが、結果的に不調に終わり、解体する方向で2023年3月から休館している。
その後、民間事業者からアイデアを募り対話を通じて活用法や市場性を検討するサウンディング型利活用調査を実施したところ、解体して新たな施設を設置する計画案に加え、既存建物を利用する計画案もあったことから、3度目の公募を実施した。


