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たっく曙
純けいの旨み、福井仕込みの炭火焼き

2025.10.17

噛むほどに深まる味

 メニューを開くまでもなく、決めていた。「純けい7本お願いします」。

 前橋・東部バイパス沿いで37年。ここ「たっく曙」は、若鶏ではなく卵を産み終えた親鶏の皮ともも肉、つまり純けいの焼き鳥が看板です。

▲純けいの焼鳥です

 濃い紅色の肉と黄色味のある皮が1串に同居しています。噛むとカリっと音がしそう。肉の味が濃く、皮の脂がジュワっと追いかけてきます。ああ、たまらない。若鶏では出せない年月の旨み。

▲純けいをタレにつけて

 卓上には福井から取り寄せた「にんにくなんば」。飴色のニンニクと唐辛子の調味料をタレに混ぜれば、刺激とコクが増します。魔法のような一瓶が、すべての味を変えます。

 あか(レバー)、ささみ、ナンコツ、しろなど12種類あるほかの焼き鳥も小ぶりながら味が濃く、お重のような器で出てくるのも個性的です。

▲これが「にんにくなんば」

▲お重の中はあかとささみ。手前は若鶏

「にんにくなんば」は万能

 ご主人の須田康文さんは、福井の人気チェーン「秋吉」で修業。福井出身の奥様、紗几子さんとともにこの店を開きました。今も炭火で丁寧に焼く姿は、まさに職人の風格です。

▲炭火を操る店主、須田さん

 野菜もいい。キューリは丸ごと一本を4つに割って豪快に登場。にんにくなんばをつけると、無限に食べられそう。

 オニオンサラダは玉ネギが山盛りで、450円と目を疑う安さ。

▲断面の美しいキューリ

▲オニオンサラダ。デカ盛りです

 定番の串カツは3串入り。小さな肉と玉ネギに薄い衣、淡い色のソースが珍しく上品。

 締めは焼きおにぎり。炭火の香ばしさに、添えられた古漬けのたくあんがほっとします。そこに、にんにくなんばをひとさじ。福井の風が再び立ちのぼります。

▲ミニチュアのような串カツ。これが旨い

▲手のぬくもりを感じる焼きおにぎり

 炭火の煙の向こうに、夫婦で守ってきた時間が見えます。静かで、確かな味。その余韻に、しばらく酔いました。

▲左から、みのみそ焼き2本と砂肝、なんこつ

▲かしらでハイボール

店舗情報

たっく曙

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027-234-9222
住所 前橋市三俣町2-26-6
営業時間 17時~22時
定休日 水・木曜