gourmet

食べたい

逢とり縁(あとりえ)
カウンターでいただく天ぷら

2025.08.30

五感総出で味わいたい

 蔦に絡まれた趣のある一軒家。打ち水された飛び石に誘われ店内へ。「こちらへどうぞ」。カウンター席の真ん中に案内していただきました。

 目の前でご主人の竹下弘幸さんが迎えてくれます。お願いしたのはランチの「天婦羅定食A」。サラダ、小鉢に続いて、刺身が出てきました。刺身はもちろん、あしらいも洗練されています。

▲刺身はマグロ、タイ、カンパチ、サーモン

 さあ、本番です。食材を切り分け、衣を付けて油の中へ。揚げ始めから次第に変化する音。立ち上る香り。鍋の中で花を咲かす食材の色艶。熱々を口にした時の食感と味。天ぷらは五感で楽しめるカウンターに限りますね。

▲「低めの温度からじっくり揚げると甘さが出る」と竹内さん

 トウモロコシからきました。粒子が細かい宮古島の雪塩でいただくと、甘みが一層引き立ちます。

 穴子が続きます。サクッと包丁で半分にしてくれました。この音も心地よいですね。塩と天つゆで味わいます。

▲揚げる直前に切り出したトウモロコシ

▲箸で2つに切り分けた穴子

 ここで茶碗蒸しが出されました。濃厚な味わいです。ウナギです。これは精が付きますね。

 いよいよエビの出番です。車エビでしょうか。いい形。頭付きです。身は旨味が詰まり、頭はカリッとした食感と香ばしさがいい。天ぷらの主役です。

▲この中にウナギの短冊がぎっしり

 ズッキーニ、マイタケ、ナスと続きます。食べるタイミングを見計らって揚げてくれます。

 キスを挟んで万願寺唐辛子、新レンコンで絞め。このあと、かき揚げ天丼か天茶が出てきますが、食べ切れずお土産にてもらいました。小柱や小エビ、白魚が入った海鮮かき揚げ。天茶にもでき、夏は冷やし天茶を頼む人が多いそうです。

▲群馬県産のマイタケは大ぶりで香りが高い

▲衣が少なめのナスは色も鮮やか

▲軽い揚げ上がりのキス

▲京都の満願寺唐辛子

▲お土産にした海鮮の旨みが詰まったかき揚げ丼

天よ志の味 いまに引き継ぐ

 前橋市の広瀬川沿いにかつて、「天よ志」という名店がありました。竹下さんはここで修業した経験があります。「職人はたくさんいましたが、いまも天ぷらを揚げているのは私くらいかもしれません」

 念願の自分の店を開いて14年目になります。綿実油とゴマ油の仕入れ先は天よ志時代と同じ。天よ志の味を求めて通う常連さんも多いようです。

▲ゴマ油は浅草の老舗から

店舗情報

逢とり縁(あとりえ)

お問合せはこちら
027-289-6464
住所 前橋市箱田町355-4
営業時間 11時30分~15時、18時~22時30分
定休日 月曜