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鈴木貫太郎を大河ドラマに
「実現する会」を10月発足

2025.05.11

鈴木貫太郎を大河ドラマに
「実現する会」を10月発足

 太平洋戦争を終戦に導き日本に平和をもたらせた前橋市ゆかりの救国の宰相、鈴木貫太郎を主人公にしたNHK大河ドラマの実現を目指す会が10月に発足する。前橋鈴木貫太郎顕彰会が事務局を務め、出身地の千葉県野田市をはじめとするゆかりの地と連携していく。前橋市内で5月11日に開かれた顕彰会の1周年総会で承認した。会長には前橋市出身の日本商工会議所名誉会頭、三村明夫氏が就任する予定。

日商名誉会頭の三村氏が会長

 名称は「大河ドラマ『鈴木貫太郎』を実現する会」。政財界に太いパイプを持つ三村氏をトップに据え、前橋商工会議所の金子昌彦会頭と野田市、大阪府堺市、足利市の各商工会議所会頭が副会長を務める。事務局長は前橋鈴木貫太郎顕彰会の腰高博会長。民間主導で発足、4自治体にも協力を求める。

 10月15日に発足式を開き、鈴木貫太郎の誕生日である12月24日、NHKに制作を要請する。この間に、ゆかりの地で署名活動やサミット、講演会を開き、機運を高めていく。

▲大河ドラマ化の意義を考える三村氏

 会長就任を要請された三村氏は「天皇陛下を描くこと、第二次世界大戦を扱うこと。これは非常にハードルが高い」と大河ドラマへの起用の難しさを指摘しながら、「地方創生に役立つ。最大限の努力をしたい」と前向きな姿勢を示した。

 その上で、「日本は小、中、高校の授業でも大学入試でも第二次世界大戦を扱ってこなかった。あの戦争がどうやって始まり、どうやってああいう形で終戦を迎えたのか、日本人として知るべきこと。何をテーマとして鈴木貫太郎を主役に取り上げるか、きっちり掘り下げる必要がある。NHKに対して取り上げる意味を前面に出さなければならない」と事務局に助言した。

▲ドラマ化にあたって史実を守るよう求める鈴木さん

 総会に出席した貫太郎の孫、鈴木道子さんは「ドラマ化すると、史実と違うことが出てくる。よくよく注意して口を出してください」と注文を付けた。

 腰高氏は①平和な戦後日本の扉を開いた②永遠の平和を切に願った③前橋ゆかりの総理大臣-の3つのフレーズを紹介し、「いまこそ貫太郎の平和への思いを世界に広めるべき。大河ドラマ実現に向けて活動したい」と協力を求めた。

▲大河ドラマ実現に意欲をみせる腰高氏

野田市記念館は2030年再建

 総会に先立って、顕彰会発足1周年記念講演会が開かれ、野田市市政推進室の学芸員、笹川知樹さんが講演した。2019年10月の台風被害で休館している野田市の記念館について、2030年を目指し登録博物館として再建する見通しを示し、「開館は完成でなくスタート。前橋のみなさんの情熱をいただき、しっかり運営していきたい」と語った。

▲記念館開館までを解説した笹川さん

鈴木貫太郎(すずき・かんたろう)

 1868年、和泉国伏尾(現大阪府堺市)に関宿藩(千葉県野田市関宿町)の藩士の子として生まれる。千葉県から前橋に移り、厩橋学校(現前橋市立桃井小学校)、群馬県中学校(現群馬県立前橋高等学校)で学んだ。海軍兵学校に進み、日清、日露戦争に従軍。連合艦隊司令長官などを歴任後、侍従長として昭和天皇に仕えた。1936年の二・二六事件で銃撃されたが一命を取り留める。1945年4月、首相に就任、同年8月、ポツダム宣言を受諾した。1948年、千葉県関宿町(現野田市)の自宅で死去する。享年81。