そば処 ささや
冬のご馳走 お切り込み

　赤城県道で半世紀前に手打ちの蕎麦店を始めた開拓者。古民家風の店は入ってすぐに囲炉裏があり、旅人を温かく迎えてくれます。
　雪と氷の赤城山で遊んだら、熱々の鍋物を体が欲しています。上州名物「お切り込み」をお願いしました。カレーうどんを食べている人も多いですね。
　しばらくして、鉄鍋に入って登場。蓋を取ると、湯気とともにいい匂いがしてきます。

　それにしても野菜がたっぷり。麺がまったく見えません。根菜類にハクサイ、マイタケ、エノキ、タケノコ。豚肉や油揚げ、コンニャクもあり、ざっと15種類の具が確認できました。栄養満点ですね。
　麺は１㌢ほどの幅広で厚のし。下茹でしてから鍋で煮込むようで、汁はどろっとしていません。家庭のとは違う、蕎麦屋さんのお切り込みです。

　小皿に取り分けて、フーフーしながらいただきます。サトイモやダイコンもよく味が染みています。ほうとうのようにカボチャもあります。お切り込みでは珍しいでしょう。甘くてデザートのよう。

　お品書きには「味噌仕立て」とありましたが、カエシに味噌と合わせているようです。子供のころによく食べた母の味付けもそうでした。懐かしいな。
　幅広の麺は最後までコシがあり、しかも汁の味をしっかり吸収しています。冬季限定ということですが、通年、出してほしいです。残念。
　後半は七味を鍋に多めに振り掛け、そのままいただきます。食べ終わるころには体がぽかぽか。身も心も大満足。冬のご馳走、いただきました。

　店は不定期で休むことがあり、電話で確認してから行った方がよさそうです。