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【灰になった街2025】vol.2
「調」と「奏」2チームで公演
キャスト決まる
2024.10.31
戦後80年を迎える来年8月2、3日の公演に向けて走り出したまえばし市民ミュージカル「灰になった街」。歌や台本読みの練習が進み、10月30日、キャスト(配役)が決定した。メンバー72人を「調(しらべ)」と「奏(かなで)」の2チームに分け、ダブルキャストで演じる。「意中の役に付ける人はほんのひと握り。どんな役になっても、それを自分の物にしてほしい」と総監督の新陽一さんは激励した。
(取材/阿部奈穂子)
メインキャストの横顔と抱負
主演の前橋高等女学校(現在の前橋女子高)の級長、早乙女薫を演じるのは、大原美紘さん(大学4年、前橋市在住)と飯塚比奈子さん(保育教諭、高崎市在住)。
「大学ではミュージカルサークルに所属していましたが、想像していなかった大役に抜擢されてビックリ。でも時間とともに内側からワクワク感が湧き出てきています。薫役を全うします」と大原さん。
飯塚さんは国立音楽大の声楽専修を卒業。「歌には自信がありますが、ダンスと芝居は頑張らなければ(笑)。明るく勝気な薫と私はまるで性格が違うので、いったん自分を捨てて、役になり切ります」と話す。
薫が思いを寄せる理研研究員、朝比奈裕介。純粋に科学を探求するが、心ならずも新兵器開発に携わる朝比奈を演じるのは、阿部和平さん(IT企業勤務、前橋市在住)と福島城さん(会社員と自営業のWワーク、渋川市在住)。
小学校から大学まで合唱に取り組んできた阿部さんは、「朝比奈の言葉と歌で、戦争の悲惨さと平和の大切さを伝えたい。大勢の方の心に届くよう全力で練習して、自信を持って本番に臨みたい」と意欲を見せる。
福島さんは「2008年、前橋女子高の音楽部が初演した時に見て、強烈に心に残っていた作品。熱い想いを持つ朝比奈に憧れていたので、選ばれて本当にうれしい」という。小学校から吹奏楽部に所属し、リズム感の良さは抜群だ。
群馬に交響楽団創設を夢見ていたが、特攻隊員として戦死する岡島三千男役は、女性2人が演じる。
一人は前橋女子高音楽部OBの一丸詩織さん(自営業、前橋市在住)。「後輩たちがこの作品を演じたのを見た時から、岡島はすごい、と憧れていました。いろんな思いを抱えて飛び立っていく、若き特攻隊員を心を込めて演じたい」
もう一人は青木望さん(会社員、高崎市在住)。「まえばし市民ミュージカルで過去2回、この作品を上演した時から関わっていました。でも男役は初めて。不安もありますが、全力で頑張ります」と話す。
戦禍を生きた前橋の人々を描く
まえばし市民ミュージカル「灰になった街」は日米開戦の昭和16年12月から終戦の20年8月までの物語。
前橋高等女学校(現在の前橋女子高)、北関東随一といわれた繁華街、桑町商店街(現在の中央通り周辺)、新前橋駅近くにあった理研前橋工場が舞台になる。
第一部では、戦局が悪化する中、新兵器の開発に没頭する理研研究室員。戦時下でも希望を失わず明るく暮らす桑町商店街の人々。竹やり訓練や理研前橋工場への勤労動員に明け暮れる前橋高等女学校生たちの姿が描かれる。
第二部は空襲の夜。アメリカ軍の爆撃機が前橋上空に飛来し、700㌧もの爆弾、焼夷弾を落下する。逃げ惑う人々、防空壕で息絶える人々。街は灰になる。
幾多の人々の犠牲の上に、いまの平和があることを忘れてはいけないことを伝える。
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