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白馬と神社 地域再生の核に
小屋原牧場が共生を探る

2024.07.25

白馬と神社 地域再生の核に
小屋原牧場が共生を探る

前橋市小屋原町で馬やロバが遊ぶ小屋原牧場は人間と動物との共生を再認識してもらおうと、牧場を地域に開放している。放課後になると、近くの子供たちが動物と触れ合い、地域の住民も温かい視線を送る。農耕や荷役でかつては地域に不可欠な存在だった馬と地域のコミュニティーの核である神社。牧場は二つを結び付け、地域再生につなげようと模索している。

白馬2頭、神社で参拝

雨に煙る小屋原稲荷神社に白馬が2頭現れた。地域の子供たちに手綱を引かれ、真剣な顔つきで参道を歩む。厩橋CHINDON倶楽部のお囃子に合わせて拝殿まで進み、「地域安泰」の祈願を授かった。

牧場を運営する電気工事業のソウワ・ディライト(渡辺辰吾社長)が主催した「こままつり」の一環。雨の中、牧場から神社までを70人の子供や住民が馬とともに元気いっぱいに練り歩いた。

▲2頭の白馬とともに祈願を受ける

▲凛々しい馬上の若武者。渡邉康明さん(左)と小黒真祐さん

人馬一体での神社への参拝について、渡邉さんは「神馬という存在があり、流鏑馬も奉納されるなど、神社と馬とはもともと親和性が高い。彼らの存在を通じて神事が行えることにより、地域の歴史や文化を再発見する効果が期待できる」と説明。動物との共生、そして地域の子供たちの参画意識からなる恒常的な地域の活性化への想いから、昨年から手掛けたこままつりにメーン行事として加えた。

▲雨の中、地域を練り歩く

▲ロバを連れて歩く渡邉さん(右)

群馬、厩橋、駒形神社と馬との御縁 

こままつりの後、渡邉さんは小屋原稲荷神社の本務社である隣町の駒形町にある駒形神社を訪れ、宮司の駒木保夫さんに神事のお礼を述べた。

駒形神社は源頼朝の愛馬であった磨墨(するすみ)の蹄(ひづめ)と伝えられるものを御神体の一部にしている。拝殿の手前には神馬像が建ち、天井には白馬の絵が描かれている。

▲拝殿の横に立つ神馬像

▲天井に描かれた白馬の絵

こままつりで参拝したのも2頭の白馬。このうち、小屋原牧場で暮らす雌のアマナは人と馬が共生する文化が残る岩手県遠野市から今春、前橋市にやってきた。「アマナのいた場所の近くに駒木駒形神社があります」と渡邉さんに教えられて駒木さんは驚きとともに不思議な縁を感じていた。

▲神事を司る駒木宮司

渡邉さんは全国各地で以前は多く存在した馬と人との行事や暮らしを前橋の地で新たに根付かせたいと協力を求めた。

駒木さんは趣旨に賛同し、「祭りは軸になるものがないと定着しない。1000年を超え地域に根付いている神社の歴史は何物にも代えがたい。地域の人と一緒に進めてください」と要望した。

©︎Shinya Kigure