interview
聞きたい
【聞きたい白川昌生×村田峰紀さん1▶︎】
「アートの街 マエバシ」を語る
2022.02.15
ヨーロッパで美術や哲学を学び、地域の歴史や文化に基づいた表現を続ける白川昌生さん。身体感覚を研ぎ澄ませた圧倒的なパフォーマンスを繰り広げる村田峰紀さん。前橋市を拠点に創作活動にあたる親子ほど年の離れた2人が「前橋とアート」を語り合う。
白川「村田君のパフォーマンス面白い」
村田「白川さん、作品が若くなっていく」
―美術館でなく、ギャラリーでもない空間。旅行や食事、商談などさまざまな用途で訪れる白井屋ホテルにお2人をはじめ、国内外のアーティストの作品が集まっています。
白川 自分の作品がホテルに展示されるのは初めてです。昔はホテルに美術品を飾るホテルは多かったですがね。展示スペースを見てすぐに描きました。こういう場所で身近にアートに親しめるのはいいんじゃないかな。
村田 前橋を拠点に活動しているので、リラックスできる場所に自分の作品が飾られているのは光栄であり、素直にうれしい。作品を創る過程もいい体験になりましたね。展示は3年ほど前から話があり、試行錯誤を重ねてきました。
白川 えっ、そんな前から? ぼくのところはオープンの1週間だったよ。「壁が空いているから出してくれ」なんて言われて(笑)。
村田 ブルーボトルコーヒーに飾ってある「赤城山龍神体」は2日で創りました(笑)。
―お互いのアートをどう評価しますか。
村田 白川さんはちゃちゃと描くんですが、ドローイングがすごくかっこいい。歳を重ねるごとに、どんどん作品が若くなっていく。ずっと、攻め続けている感じですね。父親と同じぐらいの歳なのに、そんな差をまったく感じさせません。
白川 村田君のパフォーマンス、なかなかおもしろいね。いろいろ考えてから始めるのだろうけど、自然に体が動いているような感じ。うまくしようとか、進化しなくてはとか考えず、自然派生的に体を動かしている。だからおもしろい。
村田 事前によく考えますよ。スタートする直前までコンセプトをしっかり立て、動きを考えます。でも、本番が始まったら体に任せています。
白川 ぼくもプランが出てくれば、さーと描いちゃう。ブルボに飾った作品は2009年から制作している「前橋妄想シリーズ」の最新作として描きました。
しらかわ・よしお 1948年、福岡県生まれ。
1970年にヨーロッパに渡り、国立デュッセルドルフ美術大学を卒業。89年から北関東造形美術専門学校で指導するのをきっかけに前橋市に拠点を構えている。
むらた・みねき 1979年、前橋市生まれ。多摩美術大卒。
一心不乱に身体を動かすパフォーマンスに加え、ドローイングやインスタレーション、映像作品を発表。音楽を融合したイベントも開いている。