interview
聞きたい
【聞きたい 本間和明さん▶1】
ゲーム『ぐんまのやぼう』で大ブレーク
2023.08.03
日本の各都道府県を群馬にしていく『ぐんまのやぼう』をはじめ、数多くの人気タイトルを送り出す、ゲームクリエイターの本間和明さん。アイデアをどう加工してゲームにするのか、『ぐんまのやぼう』ができるまでを聞きました。(取材/阿部奈穂子)
前橋西高からゲーム専門学校、ゲーム会社へ
―小学校の文集に「ゲームクリエイターになりたい」と書いていたそうですね。
とにかくゲームが好きで。将来、ゲーム業界に入るんだから、「ゲームも仕事だ」なんて言ってゲームばかりしてました。親には「うるせえ」って怒鳴られましたけど(笑)。
―前橋西高からゲームの専門学校へ進み、ゲームプログラマーとして会社に入社しました。
本当は、企画や基本構成を作る「ゲームプランナー」を志望していたんですが、それだと間口が狭いのではと思ったんです。プログラマーはいくらでも必要だけど、企画の仕事って上が詰まっちゃっているというか。既に面白いことを考えている人がいるのに新人なんて採らないなって思って。専門学校でもプログラムコースを選びました。
―会社には何年ぐらいいたんですか?
6年です。4年目ぐらいから「自分の好きなゲームを作ろう」と、趣味として、家でゲーム作りを始めました。iPhoneが出て、個人でもストアに出せる環境ができて、ある程度実績が伴ったんで、こっちでやっていけるかなっていう感じで会社を退職しました。
辞めた翌年、その会社は放置収穫ゲーム『なめこ栽培キット』を出して大ヒット。「辞めるの、早すぎたかも」って少し後悔しました(笑)。
年間10~20本のタイトルを発売した暴れん坊時代
―「RucKyGAMES(ラッキーゲームス)」として独立。いまスタッフはお一人ですか?
基本一人です。企画を立ててプログラム作って。グラフィックだけはできないので、別の人に手伝ってもらってます。
―独立当初は、たくさんのスマホゲームを発売されましたね。
名前を売ることが最初は大事だと思ったんです。スマホゲームは始まったばかりの業界だったんで、アプリを一番多く出せば、その分、知名度は絶対に取れると思いました。
独立した2010年から2012年ごろまでは1年間 で10から20本ぐらいリリースしてました。大暴れ時代というか、がむしゃらだった時代です。
―当時は日記を書くように、日常生活の中にゲームがあったという感じでしょうか?
何かアイデアがあれば、作っちゃえみたいな感じ。完成させる力、ひとまとめのパッケージにする力はあの頃、身に付きました。並行して何本ものゲームを手掛けていましたね。
―アイデアをどうやって形にするんですか?
その物事を突き詰めて考えていくんです。マインドマップみたいな感じで。そうするとゲームとしてまとまりそうかどうかわかる。また、短時間で作れて自分の技術の範囲内でいけるかどうかというのもポイント。無茶しちゃうと、時間がかかっちゃう。当時は速度重視でしたから。ボツになったアイデアもたくさんありました。
ランキングで最下位の群馬。じゃあ何かやろう
―そんな中で、2012年、『ぐんまのやぼう』が生まれたわけですね。
はい。88本目の作品です。約1カ月で作りあげました。
―作ろうと思ったきっかけは?
テレビのバラエティ番組で、都道府県の特集をしていて、群馬は人気がなかったんです。ランキングで最下位だった。じゃあ、群馬をテーマに何かやろうかなっていう感じです。
-群馬愛があったんですね。
いや、当時はそれほど(笑)。群馬は実家がある場所くらいにしか考えてなかった。だから改めて群馬を見て、何があるんだろうって調べ始めたんです。ゲームに落とし込めそうな素材はないだろうかと。
-上毛かるたからひらめたとか。
はい。「ねぎとこんにゃく下仁田名産」。これはゲームに使えるなと。あと、高原キャベツが有名じゃないですか。それで、資源(ねぎ、こんにゃく、きゃべつ)を収穫して、G(GUNMA)を手に入れて、G(GUNMA)を消費しながら各都道府県を制圧して群馬県にしていくゲームができました。
-大ヒット作となりました。140万ダウンロードを超え、ドラマ化されたり、『ぐんまのやぼう2017 平成27年国勢調査対応版』も出ました。
そんなにヒットするとはまるで考えていませんでした。当初はSNSで話題になって、他人事のように「うわー、すごい」と。
ゲーム人気が先行して、自分は置いてかれちゃったという感じもあります。でも、お陰で、群馬県の観光特使に認定されたり、県に表彰されたり、新聞にもたくさん取り上げてもらって、親孝行ができたのはすごく嬉しかった。
ほんま・かずあき
1984年生まれ。吉岡中→前橋西高→ゲーム専門学校卒業後、デザイン会社「ビーワークス」にゲームプログラマーとして勤務。2010年、独立し「RucKyGAMES(ラッキーゲームス)」を立ち上げる。「ぐんまのやぼう」ほか数多くのスマホゲームやNintendo Switch向けのタイトルを開発。ぐんま特使。